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ゆいこのトライアングルレッスンJ(ジェラシー)-バレンタインとすれ違い-

作者: ラジオネーム 結愛ちゃん

----------ゆいこ視点----------


ゆ)最近、たくみの様子がおかしい。私と話しているときも、上の空で。なのにやたらと私の親友についてきいてくる。きっとたくみは私の親友のことが好きなんだと思う。

たくみが誰を好きなのかなんて私には関係ない。関係ないはずなんだけど、何か言葉に表せないもの、もどかしさというか、なんというか。


ひ)「ゆいこ、考え事でもしてるのか?」


ゆ)「いや、何でもないよ!何でもないから!じゃあね!」


たくみとは裏腹に、最近びっくりするぐらい私に優しいひろし。もちろん、前からやさしい性格なんだけど、ここ最近特にだ。ひろしも何かあるんじゃないかって思うくらい。

ひろしは気を使ってくれたのに、たくみのことを考えていたせいか、慌ててその場を離れてしまった。後ろから、私を呼ぶ声がする。


「今頃たくみは告白してるのかな。」


バレンタインに逆チョコあげて告白するって言ってたもんな。って、何で私たくみのことばっか考えてるんだろう。

さっきだって、ひろしといたのにたくみのこと考えていた。何で今この気持ちに気づいたんだろう。


「でも、気づいたって多分、もう遅いよね。」


私の親友に対してのやきもちの感情が、初めて私に芽生えた。


だけど、折角作ったし渡さないのはもったいないかな。たくみは私の親友が好きなんだろうって思ってクッキーにした。意味は「友達でいよう」。

自分の気持ちに折り合いつけるって決めたから!でも、本当はマカロンあげるつもりだった。だから手元にはクッキーの袋とマカロンの袋が一つずつ。ひろしにマカロンをあげようかな。

慌ててひろしのところに戻り、マカロンを渡す。


ゆ)「ハッピーバレンタイン!今年はマカロン作ってみたんだよ。」


ひ)「ゆいこ、ありがとう。うれしいよ。」


ゆ)「喜んでもらえて良かった!」


ひ)「本当は一緒に帰りたいんだけど、生憎この後用事があって。」


ゆ)「そっか、じゃあ、また明日ね。」


ひろしのことだからほかの子から呼び出されてるんだろうな。

校舎に戻るひろしのうしろ姿を見ながらそんなことを思う。


「たくみも探して、クッキー渡さないとなぁ。」


ぼーっとしながら呟いていると、私の独り言を聞いていたのか、たくみが来た。


た)「よっ!今日、バレンタインだな。」


ゆ)「言うと思った。ってか、私の独り言、聞いてたんじゃないの?」


た)「まあ、期待はしてる」


ゆ)「ストレートに言ったなぁ。はい、これクッキー。」


た)「ゆいこ、サンキュー。」


ゆ)「喜んでもらえて良かった。」


た)「じゃあ、俺も生憎用事があるから、じゃあな。」


ゆ)「また明日ね。」


今たくみ、”俺も”って言った!?もしかして私がひろしとたくみに違うものをあげたってばれてる?


「で、でも…たくみは私のことなんか好きじゃないから…しかたないよね。」





----------たくみ視点----------


ゆ)「ハッピーバレンタイン!今年はマカロン作ってみたんだよ。」


た)ゆいこがひろしにマカロンを渡すのが見える。


「なんだよ。ひろしには渡して俺には無しか?まあ、あとで話しかけてみるか。」


ゆいことひろしを物陰から見ながら呟く。


ひ)「本当は一緒に帰りたいんだけど、生憎この後用事があって。」


た)ひろし、そういえば呼び出されてたもんな。

ひろしを見送ってぼーっとしているゆいこに近づく。


「よっ!」


ゆ)「たくみ。」


た)「今日、バレンタインだな。」


ゆ)「言うと思った。ってか、私の独り言、聞いてたんじゃないの?」


た)「まあ、期待はしてる。」


ゆ)「ストレートに言ったなぁ。はい、これクッキー。」


た)「ゆいこ、サンキュー。」


俺がもらったのはクッキー、嬉しいけど、ひろしはマカロンもらってたよな?


ゆ)「喜んでもらえて良かった。」


た)何か意味があるのかと疑問に思う。一緒に帰りたかったけど、多分、ゆいこが好きなのは俺じゃない。


「じゃあ、俺も生憎用事があるから、じゃあな。」


言ってから気づいた。”俺も”なんて言ったらひろしとゆいこがしゃべっていたのを見たと思われるだろうか?


ゆ)「また明日ね。」


た)ゆいこが一瞬不思議そうな顔をした。俺もって言ってしまったことに気が付いたのだろうか?

とりあえずその場から離れ、人気のないところで携帯を取り出す。


「”バレンタイン チョコ 意味”っと」


調べてから、後悔した。液晶画面には「マカロンはあなたは特別な人」、クッキーには「友達でいよう」。


「俺が気が付かなければよかったのにな。…あの二人だったら、邪魔なんてできねえよ。せっかく逆チョコあげようと思ってたのに。」


冷たい風が、吹いた気がした。




----------ひろし視点----------

ひ)ここ最近、ゆいこもたくみも様子がおかしい。実際、ゆいこに考え事しているのかときいてもはぐらかされた。多分たくみのことが好きだけど、ゆいこの親友のことが好きだと思われている。そんな気がする。

それにたくみは、ゆいこのことが好きだということを隠している。ゆいこの好みを本人からじゃなくゆいこの親友からききだそうとするからこんなことになるのに。


さっきゆいこからもらったマカロンを見て呟く。


「ゆいこ、たくみにあげようと思ってたんだろうな。はぁ、あいつら両片思いかよ。」


少し冷たく、俺に風が吹いた。

読んでくださりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お菓子に込めた意味と可愛らしいジェラシーが、それぞれすれ違いを生み、まさに三角形ですね。
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