プロローグ
こんちゃ! いい歳してこんなテンションで前書きを書き始める「さらだいも」こと「祐樹朋葉」です! 今回久しぶりになろうに小説を投稿させていただきます。今までシコシコと小説は書いていたのですが、ネットの小説の方は全くでした。ので、ゆるーく書き始めた次第であります。人様の目に触れる作品は久しぶりとなりますので、どうか温かい目で見守ってやってくだせぇ。
子孫を残そうと必死に鳴き声を響かせるセミをぶん殴りたくなる季節、夏。
「ただでさえ暑くて気が滅入るってのに、その上ミンミン喚かれたらたまったもんじゃないよな。大体何故俺たち人間は他の生物の求愛行動を夏の風物詩呼ばわりしているんだ。あんなのヤリモクの大合唱じゃないか」
扇風機の生温い風に吹かれながら、俺はそんなことを口にする。
すると“そいつ”は呆れたように溜息を吐いて、ゴミでも見るような目つきを俺に向けてきた。
「そんなこと考えてるのあんただけでしょ。何もすることのない引きこもりだから、そんなくだらないことばかりに気が向くのよ。少しは私みたいに役に立つことしてよね」
朝食で使った食器を洗いながら、如何にも面倒な女臭が漂う“そいつ”――紀伊咲紫苑は文句を溢す。
「バッカお前、引きこもり舐めんなよ。こちとらゴキブリ並みの生命力持ってんだからな、長い目で見たら多方面への貢献度たけーかもしんねーぞ」
「いやゴキブリみたいな奴が受け入れられるわけないでしょ」
ものの例えじゃん。言葉通りに受け取ってんじゃねーよ堅物女が。
「てかまず前提条件がおかしい。そこを指摘させてもらおうか」
「……前提条件ってなによ?」
少しムスッとしながら紀伊咲が訊ねてくる。
「さっき、お前は明らかに自分が上の立場だと思って文句を言っていたけどな。この空間における絶対者は俺なのを忘れていないか、紫苑ちゃんよ?」
「名前で呼ばないでていうかちゃんとか付けないで気持ち悪いああ鳥肌立ってきた!」
この女、泣かそう。
全力で嫌悪感を露わにする紀伊咲にピキる俺。しかし深呼吸をして気持ちを静める。さっきは「ふん!私を見習いなさいよね!」みたいな口ぶりだったが、優位に立っているのはあいつではない。
何故なら――。
「あ~~、紀伊咲が人として生活できてるのは誰のおかげだっけな~~」
「……っ!? あ、あんた、それはっ――」
「住む場所を失くして公園で泣きながら酒を飲んでいたところを保護してやった人格者は、一体誰だったかなあ~~??」
「~~~~! ああもうわかったわよ! ここに置かせてくれてありがとうございます! ……くそう、置かせて貰う代わりに家事は全部するって言ったけどさ……あんたに優しさってものはないの……!?」
悔しそうに唇を噛みしめながら、紀伊咲は泣く泣く食器洗いを再開する。
そんな紀伊咲を満足げに見つめて俺はうんうんと首を縦に振る。
そう、この高慢ちきで面倒くさい女・紀伊咲紫苑は今――俺の部屋で一緒に生活をしている、所謂「居候」なのだ。
何故俺の部屋で一緒に暮らしているのか~とかの詳細な説明は今は面倒なので省くが、とにかくそういうことだ。訳あって俺らは今同居している身なのである。
ちなみに付き合っているとかそういうのは全くない。いや一緒に暮らしてると割と意識したりはするけども。
とまあそんな感じで。
「まあ良い。さっきも言ったが俺は人格者だからな。居候させている女にばかり家事をやらせてばかりでもない。慈悲をくれてやる」
そう言って俺は壁に立て掛けてある掃除機を手に取り、床やカーペットの上を掃除し始める。
「人格者は自称しないし慈悲をくれてやるとも言わないわよ!」
「……あ、充電無くなった。人がせっかくやる気になったのになんだコイツ」
「そんなのあんたが使った後にちゃんと充電器のとこに戻さないからでしょ! もぉ~~嫌になるんだけど!!」
休日の朝から紀伊咲の悲鳴が室内に響き渡る。
これは俺、御影利一と紀伊咲紫苑の――色々と残念な同居生活から始まる恋の物語である。
前書きで力尽きたので後書きは短く。
呼んでくれたそこのあなた。不定期更新かもしれませんが、面白いから首を長くして待っててくださいね。待っててくれたら嬉しいですからね。まあそれでもたまにサボるけど。