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魔弾のスナイパーは、敵の射程圏外から無双する。  作者: 幸一
■ドワーフ自治区ソンゴ村
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サーマルスコープ

 逆さ火山のダンジョンには、廃坑になった坑道と、魔物の素掘りしたトンネルがある。

 廃坑のダンジョンには、構造を記した地図(マップ)があるものの、俺とニーナが訪れたダンジョンは、大型魔物ダフトビッグマウスが気ままに掘り進めたトンネルなので地図がない。

 それに廃坑のダンジョンには、ランプが吊るされて明るいが、このダンジョンでは、手にした松明(たいまつ)の灯りだけが唯一の光源だった。


「逆さ火山は、入口に近い1階層から3階層まで廃坑のダンジョンなので、攻略難度が低いのですが、4階層より下は、地図と明かりがないので、攻略難度が一気に高くなるんですよね」


 松明で片手が塞がっているニーナは、肩にガンスリングを通して、ベクターLM5を携行しているが、俺は彼女の松明で視界を確保しており、ベレッタ92を両手で構えていた。


「ニーナは普段、逆さ火山のダンジョンに潜るのか?」

「ボクは、冒険者登録しているけれど、本業は鍛冶屋だからね。こんな下層のダンジョンには、初めて来ましたよ」

「そうか。ならばニーナは、俺の腕前を見極めるだけなので、戦闘に加勢する必要はない」


 背後を歩くニーナの腕前が解らなければ、アサルトライフルの片手撃ちで、フレンドリーファイアされたら困る。

 ここで狩る獲物がファイヤラットやクレイウルフならば、ハンドガンで対処できるので、ニーナに手出し無用だと伝えた。


「ススム、この横穴は行き止りみたいです。別れ道の入口、大穴まで引き返しましょう」


 ダンジョンには、ダフトビッグマウスが素掘りした大穴が最深部まで続いているが、その先端まで行けば、大型魔物ドラゴンと鉢合わせする。

 ヨーゼスは、ダンジョンの(ヌシ)を倒せと言わなかった。

 だからニーナは、入口の手前から枝分かれした小さなトンネルを進んでいるのだが、これで行き止まりは三度目である。


「ダンジョン入口付近の横穴は、他の冒険者に狩り尽くされているのだろう。大穴に戻るなら、もう少し先に進んでから、別れ道に入った方が良いのではないか?」

「大食いミミズは、人間や小型魔物を捕食するために大穴を移動しているんですよ。土中を掘り進んでいるときの移動速度は、それほど速くありませんが、大穴を移動しているときは、けっこう速くて逃げ切れません」

「しかし、ここまでスライム数匹をコンバットナイフで倒しただけで、射撃の腕前を披露するような敵と遭遇してないぞ」


 射撃の腕前を確かめたいのなら、トンネルではなく村の外で試せば良いのに、わざわざ6階層下の横穴を指定したヨーゼスには、何か思惑があるのだろうか。

 ニーナが攻略難度が高いというダンジョンを指定したのだから、射撃の腕前のみならず、俺の強さを実戦で確かめたい。

 そう考えれば、大型魔物との遭遇を嫌って、おっかなびっくり進んでいても、埒が明かない気がする。


「ファイヤラットが5匹いる。どうやら、俺たちを尾行して、背後から飛び掛かるつもりだったらしい」

「え、どこですか?」

「50メートル先の岩場に潜んでいる」


 大穴に戻る手前、ファイヤラットが5匹、岩に潜んでいるのだが、ニーナが松明の灯りで照らしても、影すら見つけられないらしい。


「ススムは、夜目のスキルを覚えているの?」

「いいや。()()()は今、光ではなく熱を見ている」

「熱を見る?」

「火属性のファイヤラットの体表は、熱を帯びているようだ。()()()()()()()()に狙われて、逃げられると思うなよ」


 俺がフリッツヘルメットのベッドマウントに取付けたサーマルスコープは、光ではなく赤外線を検知して映像化する暗視スコープ。

 ファイヤラットは、俺とニーナが大穴に戻るのを暗闇に乗じて待伏せしているが、固有スキル【鷹の目Lv4】と、有効射程距離50メートルのベレッタ92で、体長2メートル程度の動かない標的を撃ち抜くのは容易い。

 俺はサーマルスコープの赤外線映像を確認しながら、真っ暗なトンネルの先に狙いを定めると、引き金に指を置いた。


 バンッ!


 初弾は、最も後方にいるファイヤラットの眉間を撃ち抜いた。

 刹那、赤外線映像に煌々と映っていたファイヤラットが一匹、前足を伸ばして塞ぎ込んだ。


「ニーナ、敵との距離を詰めるぞ。この距離でも問題ないが、残り4匹を逃したくない」

「今の当たったの!?」

「ああ、確実に仕留めた」


 鷹の目による弾道可視化は、射撃場におけるピストルレンジの30メートルであり、それ以上は経験則、俺の腕前があって着弾が可能である。

 しかし最も遠い標的から射撃したが、残りのファイヤが銃声に怯んで、俺に背中を向けた。

 奴らは、状況が飲み込めないのだろう。

 倒れた仲間を横目で見ており、追いかけながら射撃すれば、大穴に戻る前に全滅させられる。


 バンッ!

 バンッ!


 二匹を射撃して、残り二匹。

 残った二匹は、逃げても無駄だと理解したらしく、岩陰に身を隠した。


「あ、あと二匹はっ、何処にいるの!?」


 ニーナが追いつくと、足元にファイヤラット三匹が地面に倒れているのを見つけて、慌てて叫んだ。


「すぐそこの岩陰にいる」

「二匹同時に飛び掛かられたら、や、ヤバい距離じゃないですか!?」


 しかしサーマルスコープで追跡していれば、【鷹の目Lv4】は、認識した標的が遮蔽物に隠れても視認できる。


「ススム、どこを狙っているんですか? ファイヤラットは、目の前の岩陰なんですよね?」


 俺が岩陰とは、明後日の方向に銃口を向けるので、ニーナは『???』である。


「俺から隠れても無駄なんだよ」


 バンッ!

 バンッ!


 2発の銃弾は、トンネルの壁で跳弾すると、岩の後ろに隠れているファイヤラットの側頭部にめり込んで爆ぜた。


「えーっ! どうして当たるの!?」


 岩の左右から千鳥足で現れたファイヤラットは、だらしなく舌を垂らして地面に倒れた。

 俺の固有スキルは、跳弾を可視化している。

 可視化された弾道により、トンネルの壁で跳弾した銃弾が、岩に隠れたファイヤラットの側頭部を撃ち抜くと解っていた。


「ニーナ、素材を回収して先を急ごう」

「はい! ファイヤラットの死骸が、冷めないうちに外皮を剥がしちゃいますね」


 ニーナは軍手を嵌めると、手際良くファイヤラットを解体している。

 俺の腕前は、今の戦闘で十分に披露できたと思うが、せっかくのダンジョンなので、土気色のスライムや、クレイウルフを狩って土属性の魔力を集めたい。

 俺は、このダンジョンで土属性魔力を多く得ることで、治癒魔法を覚えるつもりだった。

 

真っ暗なダンジョン攻略では、

赤外線暗視スコープ大活躍!


( ╹▽╹ )〈ブクマしてね♪

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