モンスター図鑑③ソンゴ周辺/逆さ火山
ドワーフ族の身長は、男女問わず人族の12〜14歳の平均身長ほどだ。
男性の大半は、ずんぐりむっくりした体型で髭を生やしており、御伽噺に出てくるホビットやドワーフのイメージのままである。
しかし女性の体型は、樽のように太った者もいるが、低身長の痩せ型、女子小中学生のような見た目の者が多い。
鉱夫である男性は、食欲旺盛で似たような体型だが、女性は基本的に専業主婦であり、容姿を気にして粗食を好むらしい。
だからソンゴに来たとき、ドワーフ族には恰幅の良い中年男性と、少女しかいないのかと錯覚したほどだ。
「成人した女ドワーフが、小学生のような見た目なのだから、その手の趣味の者には、ソンゴが天国だろう」
「ボクに何か言った?」
「こちらの話だ」
ドワーフ族と人族の混血種であるニーナは17歳、人族のDNAが強いのか、低身長ではあるが、年相応の女子高校生に見えなくもない。
俺は今、ニーナとパーティー契約して狩猟区『逆さ火山』の螺旋の坂を下っている。
ニーナの師匠であるヨーゼスが、銃弾を提供するために、俺の腕前を確かめたいと言ったからだ。
銃弾を作るニーナが、俺に力授けるのに納得のいく腕前なのか、見届けるようだ。
「ニーナは、ヨーゼスに弟子入りして何年目なんだ?」
「ボクが師匠に弟子入りしたのが10歳のときだから、もう7年になるね。最初の2年間は、王都で色々指導してもらったけど、ソンゴに来てからは、鉄砲の弾を作ってばかりさ」
「そうか」
「師匠は、いつ騎士団長がエクスフィアに戻っても良いように、ボクを育てていたんだろうね。だから鉄砲の弾を作るのは、お手の物なので安心して良いよ」
隠居したヨーゼスは、ザダール将軍がエクスフィアに帰還しても問題ないように、ガンスミスの後継者を育てていた。
「ヨーゼスのようにアサルトライフルを作れる鍛冶屋は、他にもいるのか?」
「鉄砲を作れるのは、師匠しかいないね。ボクは、こいつの調整ができるけれど、一から作るのは不可能かな」
「しかしベクターLM5の所有者は、他にもいるんだろう?」
「どうかな。でも師匠は、騎士団長の注文がなければ鉄砲を作らないし、この鉄砲は、騎士団長がボクにくれたんだ。ボクが知る限り、鉄砲を持っていたのは、騎士団長と迷いの森で行方知れずになった『銃士』と呼ばれた親衛隊だけのはずだよ」
つまりニーナは、エクスフィア唯一のガンスミスであり、アサルトライフルの所有者は、ザダール将軍とともにエクスフィアから消えている。
用心深いザダール将軍は、きっと自分たち以外が銃器を手にしないように、ヨーゼスのみに制作を依頼していたのだろう。
ではニーナのベクターLM5が、ヨーゼスが作ったエクスフィアに現存する唯一の銃器かと問えば、ヨーゼスも形式不明の拳銃を数挺所持しいるらしい。
「ところでニーナの両親は、存命なのか?」
ニーナが年頃の17歳ならば、ヨーゼスのような老人と同居している理由が気になった。
「ママは、ソンゴの実家に戻っているけれど、パパは……」
聴覚Lv5は、些細な物音を拾える反面、火口を流れるマグマが爆ぜる音や地鳴りがノイズのように聞こえるが、集音性は任意で変えられると、ニーナに教えてもらった。
だから今は、周囲の雑音を気にせず、ニーナと会話できているので、言葉を濁した彼女は、父親の生死について答えたくないのだろう。
しかしニーナの母親が、ソンゴに実家があるならドワーフ族であり、父親は、その手の趣味の人族である。
「ニーナは、母親と同居しないのか?」
「ボクの実家は、師匠の家と違って天井が低いからね。師匠はソンゴに戻ったとき、ボクの身長に合わせて家を新築してくれたんだ」
「なるほど」
「ススム、ボクのパパは−−」
「父親の話は、無理に話す必要がないぞ」
ニーナの父親の話には、あまり触れたくなかった。
彼女の父親が、その手の趣味だった場合、どんな顔で話しを聞けば良いのか、ノーマルの俺に解らないからだ。
「ススム、ここが大食いミミズが空けた大穴の入口だよ」
螺旋の坂道を二時間ほど下ったところには、他の横穴と比べ物にならない大穴が空いており、そこが逆さ火山に生息する大型魔物のダフトビッグマウスがいるダンジョンの入口だった。
俺はダンジョンに侵入する前に、街道沿いの魔物や、逆さ火山に生息している魔物をまとめたノートを確認する。
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【ソンゴ周辺】
名前:アイアンチキン(Lv20〜25)
特徴:見た目は、ダチョウほどの大きさがある鈍色の鶏。苦無のような羽を飛ばして攻撃してくるが、羽を撃ち尽くしたところを反撃すれば、簡単に倒せる。
補足:鉄分の多い羽、食肉。
名前:ダフトビッグマウス(Lv250)
特徴:直径10メートルの巨大なミミズ。名前の由来である『馬鹿げた大口』のとおり、前方に逆円錐の大きな口を広げており、人間を襲うときは周囲の土ごと丸呑みにする。土の魔素を纏った大型魔物。体長は伸縮自在であり、個体差も大きく30〜100メートル。
補足:魔素を含む肉は食用不可、薬やポーションの素材になる。
名前:ファイヤラット(Lv35〜40)
特徴:逆さ火山のダンジョンに出没する火属性の小型魔物。体表に火を纏い、集団で襲ってくるので単独討伐や接近戦に注意が必要。
補足:火の衣。ルビーの瞳。魔素を含む肉は食用不可、薬やポーションの素材になる。
名前:クレイウルフ(Lv40〜60)
特徴:魔族が作った狼のアンデッド。5〜10匹の群れで行動しており、リーダー格の一匹が群れの攻撃を指示している。リーダー格が倒された場合、群れを散開して逃走する。土属性。
補足:魔素を含む肉は食用不可、薬やポーションの素材になる。
名前:マグマン(Lv100〜)
特徴:身長2メートルの人型魔物。どろどろに溶けたマグマのような体は、冷えると硬化ために火口付近でしか生きられない。知性が高く、人語を解する魔物、高度な火属性の攻撃魔法を唱える。レベルに個体差があるものの、Lv100未満のマグマンは存在しない。
補足:鉄、希少金属。冷えて固まった体に魔素を含む、薬やポーションの素材になる。
補足:逆さ火山のダンジョンには、ダフトビッグマウスなどの死骸を処理した土属性と、ファイヤラットなどの死骸を処理した火属性のスライムが多く生息しており、駆け出しの冒険者は、入口に近いダンジョンでスライス狩りをしている。稀にゴブリンやオークにも遭遇するが、森や砂漠の魔物より低レベル。
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次回はダンジョン攻略です!
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