表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔弾のスナイパーは、敵の射程圏外から無双する。  作者: 幸一
■ドワーフ自治区ソンゴ村
44/47

ベクターLM5

 ソンゴの滞在は一週間。

 俺は、限られた時間で弾薬を補給しなければならない。

 俺が探しているヨーゼスという鍛冶屋は、王都エクスフィアの騎士団御用達の職人であり、この世界に銃器を持ち込んでいたザダール将軍とも面識があったらしい。

 ザダール将軍が騎士団長であれば、騎士団御用達の鍛冶屋ヨーゼスに弾薬を作らせていた可能性がある。


「ヨーゼスさんは5年前、王都騎士団に伴って戻ってきたね。なんでも魔界侵攻作戦に備えて『ソンゴに補給基地を作る』と言っていたけれど、騎士団長が行方知れずになったせいで、話が立ち消えになっちゃってさ。ヨーゼスさんは今、何処で何をしているのやら」


 宿屋の主にヨーゼスの所在について尋ねると、ザダール将軍が迷いの森で消えた五年前、彼に伴ってソンゴに帰郷したらしい。

 ザダール将軍が、お抱えのガンスミスを手元に置きたくて、ヨーゼスをソンゴに呼び付けたのだろう。


「家族や親戚、ヨーゼスの所在を知る人物はいないか?」

「ヨーゼスさんは高齢の独り者だし、ソンゴに戻った後、隠居したと聞いてます……。あ、でも一人、王都から連れてきた弟子がいました」

「弟子?」

「王都からは、多くの武器職人がソンゴに来たのですが、補給基地の話がないと解って、ほとんどが王都に戻ったのです。ですが、ヨーゼスさんの連れてきた見習い鍛冶屋は、ソンゴに留まって修行を続けているはずです」

「名前は解るか?」

「名前は解りませんが、素材屋で尋ねれば解るでしょう。()()は人族との混血なので、普通のドワーフ族より背が高いから、すぐに見つかりますよ」

「ヨーゼスの弟子は、長身の女ドワーフなんだな」

「はい」


 ガンスミスのヨーゼスが引退しているなら、探しても無駄な気がするが、まだ彼が弟子を取っているなら、完全に火床の火を消したわけではないのだろう。

 俺は、冒険者ギルドに登録しに行くシノたちを送り出してから、ダッフルバッグを背負って素材屋に向かった。

 素材屋では、街道の魔物から剥いだ素材や、ヤハエからもらった素材を換金する予定があり、ヨーゼスの弟子が見つからなくても、無駄足にはならないだろう。


「こちらの素材は、金7本で買取りますが、鉄鎧鶏(アイアンチキン)の羽は、鉄の取れるソンゴでは売物になりません。ソンゴには、鉄鉱石がそこら中にあるのです」


 素材屋は、ヤハエのくれた素材のみ値を付けると、村周辺で狩猟した魔物の素材を突き返した。

 しかし戻されたところで、使い道がなければ廃棄するのも面倒だから、引き取って欲しいと申し出る。


「その羽、無料(ただ)でもらえるの?」


 声の方に振り向けば、ドワーフより背が高く、人族としては小柄な女性が立っていた。

 探しているヨーゼスの弟子が、人族とドワーフ族の混血なら、処分を頼んだ鉄鎧鶏の素材を物欲しそうに見ている彼女が、その人だと思った。


「ニーナ、そんな物もらって何に使うんだ?」

「ボクの作る弾は、地金から作るより、鉄鎧鶏の羽を加工して作る方が楽なんだよね。これから取りに行こうと思ってんだけれど、無料でもらえるなら助かる」


 素材屋に『ニーナ』と呼ばれた女は、鉄鎧鶏から()()()()と言った。

 それにニーナが背負っている武器には、見覚えがある。

 俺はニーナに自己紹介すると、ヨーゼスの弟子なのか尋ねて、鉄鎧鶏の羽から作る弾がどんなものか質問した。


「ヨーゼスは、ボクの師匠だ。弾は、()()()()()()()()()みたいなものだね」


 そう言ったニーナは、ガンスリングを前に回して、背負っていたベクターLM5を正面に向けた。

 ベクターLM5とは、ご存知のとおりイスラエルのイスラエル・ミリタリー・インダストリーズ|(IMI)が、アフトマート・カラシニコバ|(AK-47)を基に設計したガリルSARを、南アフリカ共和国がライセンス生産したアサルトライフルだ。

 外国人傭兵部隊を裏切ったザダール将軍は、南アでライセンス生産されたベクターLM5をエクスフィアに持ち込んでいたらしい。


「ニーナの作る弾は、ベクターLM5の弾丸なんだな」

「ススムは、もしかして鉄砲のこと知っているの? この武器が作れるのは、ボクの師匠だけなんだけど」

「ヨーゼスは、ベクターシリーズを生産しているのか?」

「王都エクスフィアにいた頃は、騎士団長の依頼で作っていたらしいけれど、今は作ってないよ」


 まさかザダール将軍は、弾薬だけじゃなくてアサルトライフルまで、エクスフィアの鍛冶屋に作らせていたのか。

 しかしエクスフィアでは、銃器類の存在が確認できなければ、蔓延っている気配がない。

 ザダール将軍は、ドワーフに作らせたLM5を流通させる気がなかったのだろうか。

 それともヨーゼスがソンゴに戻った五年前、ここを補給基地としてアサルトライフルを騎士団に配備、魔界侵攻作戦を開始するつもりが、迷いの森で南ア密林地帯に帰還してしまった。

 ザダール将軍が実戦配備する前にエクスフィアを離れてしまったので、アサルトライフルが市中に出回ることがなかったと考えれば、納得できる話ではある。


「弾を見せてくれないか?」

「いいよ」


 22口径のベクターLM5、弾は5.56mm NATO弾。

 ニーナの仕事は、見た目に完璧のようだ。


「銃も見せてくれるか?」


 ニーナは少し悩んでから、弾倉(マガジン)を抜いてアサルトライフルを寄越した。


「見た目より軽いのは、素材の違いだな。剛性があれば、軽い方が取り回しが良い」

「ススムは、持ったことあるの?」

「俺がいた南アでは、メジャーなアサルトライフルだからな」


 ベクターM5からフルオート機能を廃して作られたLM5は、LM4からバイボットが外されて、バレルも短縮されている。

 集弾性を考慮した射程距離は300メートル程度で、典型的な強襲用のセミオートライフルだ。

 試射してみなければ解らないが、見た目だけなら申し分ない。


「鉄鎧鶏の羽は、ニーナにくれてやる」

「本当に!?」

「ああ、その代わり俺の注文を聞いてくれ」


 俺は、MK-15とベレッタ92の弾丸を取り出すと、ニーナに渡して同じ物を作ってくれるように依頼する。

 ニーナは注文を受けるか、まず師匠であるヨーゼスに相談して決めるので、家まで着いてくるように言った。

ニーナのLM5は、木製ストックのショートバレルです。


( ╹▽╹ )〈続きが気になる人は、ブクマしてね♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ