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魔弾のスナイパーは、敵の射程圏外から無双する。  作者: 幸一
■オアシスの集落ムゥハ
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オアシス

 オアシスの集落ムゥハには、大小様々なため池が作られており、町中で見かける小さな池で25mプール程度、集落を囲むように作られたドーナツ状の大きな池になると、人造湖レベルの貯水量がある。

 ムゥハは豊富に確保した水量により、乾いた土地を緑地に変えており、ここが砂漠の真ん中だと忘れてしまいそうだ。


「ススムさん、次の隊商がムゥハを訪れるのは二週間後、慣れない土地で不便がないように、子供たちを残していきます」


 ヤハエは、集落に留め置かれた俺のために、土地勘があり、砂漠の民ムゥハ族にも詳しいヒノとクリルを預けると申し出た。

 クリルから借りた本で、カラド地方の種族や部族のマナー(行儀作法)タブー(禁忌行為)について学んだものの、双子が現地の調整役(コーディネーター)で残ってくれるのは有難い。


「ソンゴに直接向かう方法がなければ、ぜひお願いしたい」


 もしもムゥハからソンゴに行けるなら、ヒノとクリルの子供だけで、ラファトに送り返すことになる。

 俺のために双子を残してくれるのに、子供たちを置いて先に進むのは、ヤハエに不義理だと思った。


「ムゥハを経由する隊商のルートは、カルディラからラファトに戻る西回り、ラファトからカルディラに向かう東回りしかありません。タマーノ商会もソンゴからラファトに向かうときは、西にある別のオアシスを経由しているのです」

「なるほど、砂漠の集落はムゥハだけではないのだな」


 つまりカラド地方を行商する隊商のルートは、ラファト↔ソンゴ↔【別のオアシス】↔カルディラ↔【ムゥハ】↔ラファトであり、ムゥハからはカルディラかラファトに向かうしかなく、ソンゴに直接向かう隊商がいない。


「それに今の季節は、カルディラからソンゴに向かう隊商がいません」

「なぜだ?」

「収穫期であれば、カルディラで農産物を安く仕入れて、ソンゴやラファトで売りますが、閑散期はソンゴで仕入れた武器や農具をカルディラで売ります」

「カルディラは、農畜産業が盛んな村だったな」

「はい」

「今は閑散期なので、農産物の仕入れ価格が高く、量も少ないから、ラファトに帰郷するときに立ち寄るのか」


 それに俺が倒したサンドキングやオークから得た素材は、ラファトにあるタマーノ商会本店が全て買取ってくれる。

 ソンゴで銃弾の作れるドワーフが見つかっても、先立つものがなければ商談にならない。

 どの道、ムゥハを解放されたら、ラファトで素材買取りの代金を受取るしかないのである。


「そうだな。次の隊商と交渉するとき、双子がいれば心強い」

「ヒノとクリルは、生まれたときから隊商で砂漠を渡っています。それに隊商の獣人族は、気難しいムゥハ族とも気が置けない仲なので、きっとお役に立てると思います」


 気難しいムゥハ族。

 酋長の娘ノルティは、ペルカやザンザと同じ人族でありながら、毛皮を鞣して作られた民族衣装を纏っており、頬にアメリカ先住民のようなペイントをしていた。

 ムゥハ族という部族には、俺を迎え入れてくれたカルディラの人族とは、明らかに違う雰囲気がある。

 ノルティの排他的な雰囲気は、俺を冒険者ギルドから追放したギルド長のハイム、少数種族のエルフ族に似ている気がした。


 ◇◆◇


 俺と双子は、ラファトに戻る隊商を見送った後、ムゥハの中心にある市街地に向かった。

 双子が寝起きしていた荷馬車がなくなったので、宿屋を探す必要があるからだ。

 夜のうちは気付かなかったが、集落の中心には石造りの家が建ち並んでおり、広く整備された道には、多くの露天商が品々を並べて商売している。

 集落で収穫した果物、首飾りなどの宝飾品、複雑な文様を浮かべる絨毯、露天に並べられた品々は、どれもムゥハの特産品だと、クリルが教えてくれた。


「ムゥハの市街地は、モロッコに風景が似ている」


 ただしノルティのように日焼けした肌の露天商は、呼込みが蛋白で活気に乏しく、モロッコのフナ市場のような賑やかさがない。


「ムゥハは夏になると、湖水浴客で賑わうのですが、いまは冬ですからね」

「湖水浴?」

「ムゥハは、湖水浴ができる避暑地として有名なのですよ。集落を囲む広い人工湖、湖に面した白い砂浜、南国リゾートを楽しむ観光客が集まって、毎日がお祭り騒ぎになります」

「今は、シーズンオフなのか」

「ああ、早く夏にならないかな〜、ことしの夏も、ムゥハビーチで踊り明かしたい!」


 ヒノが興奮気味に語ると、クリルが口元に拳を当てて笑っている。


「私たちは夏になると、ムゥハに長期滞在するのですが、その目的と言うのがですね−−」

「あーっ、クリル! そのことは秘密だと言っただろう!?」

「ススムには、話しても良いでしょう? パパたちに、ススムとムゥハに残ると提案した理由だって−−」

「ダメダメっ、絶対に話したらダメ!」


 ヒノには、ムゥハに残りたい理由があるらしい。

 どんな理由なのか、全く興味がないのだが、真っ赤な顔のヒノを、意地悪くクリルが(からか)っている。

 双子のやり取りを見る限り、ムゥハには、ヒノの意中の人でもいるのだろう。

がんばって毎日更新しています。


( ╹▽╹ )〈ブクマしてね♪

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