モンスター図鑑①カルディラの草原地帯
草原で出会った魔物は、スライムだけではなかった。
鼻頭からツノの生えた猪は、目が合えば遠くからでも額を突き出して、一直線に向かってくる。
俺は、この魔物を『ツノシシ』と名付けた。
ツノシシは三〜五匹で草を食んでおり、目を合わさないで素通りすれば、わざわざ襲って来ない。
「しまったっ、目が合った!」
ツノシシの攻撃パターンは単純で、ツノを突き出して突進、インパクト直前に顔を上げてツノで突き上げる。
奴らは顔を上げる瞬間、視線も上に背けるので、それを合図に回り込んでナイフで攻撃すれば、簡単に対処できるのだが、最初の一匹が走り出すと、残りの連中も一斉に襲い掛かってくるので面倒だ。
一匹目を対処している間に、突進してくる二匹目、三匹目を躱しながら斬り続ける。
ツノシシのレベルは2、群れを全滅させても能力限界の閾値を超えなければ、初戦こそ毛皮を剥いで、食料として肉を調達したものの、相手にするだけ無駄なので、見つけてもやり過ごすことにした。
必要以上に殺さないのは、ハンティングの基本でもある。
「ツノシシはスライムより好戦的だが、容姿は小型のサイのようでもあり、魔物より野生動物に近いと思われる」
俺は草原で戦った魔物の攻撃パターンや生態をボイスレコーダーに記録して、ノートにまとめることにした。
次に対峙したときは、これらのデータが役立つに違いない。
スライム、ツノシシに次いで倒したのは、チンアナゴのように地面から半身だけ出して揺れている大きなミミズ『チンワーム』だ。
チンワームの体は白と黒の斑模様、草原に点在する砂地から数十匹が2メートルほど顔を出しており、それぞれが風に逆らって同じ方向を見ている。
レベルは15、大量に倒せばレベルアップが期待できるのだが、危険を察すると、瞬時に砂地に潜ってしまうので、一匹捕まえて倒すのが精一杯だった。
「チンワームは仲間の声に反応して、地面に潜ってしまうが、遠方からの狙撃なら大量の魔力吸収が可能だろう」
俺はライフル弾の残弾を考慮して、巣穴から半身を出したチンワームもコンバットナイフで倒した。
遺体を巣穴から引摺り出して全長を調べようと試みたが、重すぎたので諦めて、可食できそうな部位のみを切り落とした。
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【カルディラの草原地帯】
名前:スライム(Lv8〜10)
特徴:体は半透明で不定形。体長や体色には個体差があり、底部に捕食用の口とアメーバ状に伸びる触手がある。
補足:何も取れない。
名前:ツノシシ(Lv2)
特徴:5匹程度の群れで行動しており、目を合わせると、ツノの生えた頭を下げて突進してくる。レベルが低く、全ての個体がLv2なので魔物ではなく、野生動物の可能性がある。
補足:ツノ、牙、毛皮、肉が取れる。
名前:チンワーム(Lv10〜15)
特徴:チンアナゴのように群れており、砂地に作られた巣穴から2メートルほど顔を出している。気性は臆病で、危険を感じると巣穴に潜る。全長は不明。
補足:肉が取れる。
補足:カルディラの草原では、魔物たちの餌となる子犬サイズのバッタやダンゴムシ、広げた扇子ほどの羽虫を見かける。
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その夜も、ギリースーツでテントを作ると、焚き火でツノシシの肉を焼いて食べてから横になる。
カルディラの村明かりは遠くなり、夜空には満点の星が輝いていた。
昨日、更新予約を忘れてた……
(´;ω;`)〈今日は更新がんばるね




