第66話 特上寿司
ミラグロサ姫がいたので最後の第2宝箱を楽しんでから、ミュリーとヘキシア、第5部隊の獣人たちは都への帰路に出発した。
ミュリーに柴丸のリードを渡したのは、ダフネなりの武士の情けである。
「え?何してるの?やっと柴丸が帰ってきたのにー?!」
見送りがすみ、ダフネと第4部隊のハーフエルフたちはボス部屋でのんびりしている。
――いやー!なんか帰ってきた感じがするな!
――はい
リンリリ隊長が答える。
――そうそう。ミュリーからひとつ連絡があったな。再度、伝えておく
――はっ
――スタッチェルハーケンは、どうやらベーリン帝国とつながっている。むしろベーリン帝国の命令で行動した可能性がある
――ベーリン帝国・・・・
――まず間違いなく、ドラゴンクラッシャーも今回の件で政治問題に巻き込まれた
――ベーリン帝国にいる第2部隊は?
ピョリー副隊長から質問が上がる。
――まさにその件だ。第2クランハウスを残して、第2部隊はここにひき上げさせている
――ひと安心ですね
シャリーが反応する。
――おっさんもフォローにまわってるしな。だが、警戒は怠るなよ・・・ん?なんか匂いがしねぇか?
「ぎくぅ?!」
『10分もせずに気づかれましたね』
「お寿司だもん匂うよ!でも、消滅するまで隠し通すよ!」
――何か怪しい所がないか確認!レッリー、サイリリはそのままコアの護衛!
リンリリが指示を飛ばす。
ハーフエルフたちはボス部屋に3人、通路に1人、2階に2人と分かれ状況を確認する。
ダフネは鼻をひくひくさせながら、ボス部屋をゆっくりと一周して廊下に出る。
廊下をいったりきたり、2階に飛び上がろうとしたとき。
――ダフネのあねご。宝箱!宝箱が現れました!
――ん?こんなタイミングでかい?
ダフネがボス部屋に戻るとティータイムと同じように宝箱が配置されている。
――開けますか?
明らかに違うタイミングの宝箱にリンリリが指示をあおぐ。
――初めてのタイミングだ。あたいが開ける。STR中上昇、DEX中上昇、VIT中上昇、異常耐性中、物理耐性中、即死回避・・・
コアを護衛しているレッリー、サイリリもボス部屋に片足だけ突っ込んで警戒する。
宝箱はパッと開かれた。
「じゃじゃーん!旅行お疲れさまでした!えびせん山盛りとほうじ茶だよ!・・・ってのは表向きで、本当はえびせんの匂いでお寿司を隠してるの!」
――食べます
カイリリが自ら手をあげて、ポリポリとえびせんを口にし、ズズズとほうじ茶を飲む。
――問題なさそうです
ポリポリとテーブルの中央に山盛りになっているえびせんに手を付け続けるカイリリを見て、リンリリが判断をくだす。
なっとくいかない顔のダフネが席についてポリポリと食べ始め、リンリリはテーブルの一つから山盛りのえびせんとほうじ茶を取りレッリーとサイリリへ渡し自分も食べ始める。
そこそこなくなったタイミングでダフネがたつ。
――やっぱり納得がいかねぇ。微妙に匂いが違ってる
「諦めてなかったよ?!コア!消滅した?」
『まだです。もう少しかかります』
2階へ飛び上がると、わずかな匂いを嗅ぎ取ろうと床や壁に鼻を近づけひくひくさせる。
――ポリポリ。あねごー。そういえば3階ってありまひたよね!
カイリリが口の中をモゴモゴしながらダフネに意見を飛ばすのを見て、サイリリがゲンコツを落とす。
ダフネは2階の天井を見つめ、隠し扉を開き3階へと飛び上がる。
?!
――いや、3階に匂いはない。・・・ここは壁も岩肌のまんまだな
『時間的には消滅しました』
「よし!わたしのかちー!」
たまは、岩に偽装した寿司マーク付きの密閉寿司桶を入り口に咲く花のしげみの中へと投げ入れていたのだ。
――もう2階の匂いも消えたか・・・・
「特上寿司、届いたかな?」
たまは勝利のジャンピング万歳をしていたが、根本を思い出しコアにたずねる。
『届くわけあ・・・・レア確定ガチャチケットが届きました』




