7.ひと段落
―――――その熱気の影で数個の影から小さな声が聞こえる。
「新参者、なかなか面白いやつでしね」
「・・・ふん、どこの馬の骨ともわからんやつが、俺は気に入らねえな」
「まぁまぁコバ様が本当に実力があれば従うのみですわん」
数時間後。
「いやー大盛況だったでござるな!大成功でござるよ!」
魔王が微笑みながらボールを手に転がす。
「しっかし、たかが1日で四つ球をマスターするとは魔王、なかなか見どころあるじゃねえか」
「本来は難しいようでござるが、拙者の手は吸盤に近い性質があるから楽だったでござるよ」
「なんだよそれチートじゃねえか。しかし短期間で習得できたのもお前の努力があってこそだぜ。まあこれからもよろしく頼むわ」
「いやいや、コバ殿の教え方がよかったのでござ・・・」
酒を飲みかわしながら成功を祝う宴。盛り上がる中ロッドがコバと魔王を見つめる。
「ん?ロッドどうした?」
「そうでござるよ、杖の姿のままだと喜んでるかわからないでござるな!」
ピピピピ・・・
「おわっ、ロッドどうしたんだ?!変な音出てるぞ」
小林が驚いてロッドに近づくと、やれやれと魔王がため息をつき近づく。
「大丈夫でござる、充電切れなだけでござる」
ピピピ…充電ガハジマリマシタ。アップデートガアリマス。更新シマスカ?
「ポチポチっと、はいオッケーでござる」
「なるほど充電切れねー!いや!こいつ一体何なんだよ!」
少し充電できたのか、ロッドが言葉を話し出す。
「・・・ます、魔王様、き・・・」
「魔王様、勇者が近づいています。」
「・・・・えええ?!」
手品で使われる杖は、呼び方により長さなどが違います。
ウォンドは手に持てる、いわゆるおまじないをかけるときに使うようなやつです。
ケーン(ステッキ)は体を支えられそうな長さのやつです。