5.お披露目
次の日
疑っていたわけではなかったが、こいつが魔王と言われているのに納得した。
部隊が7つ、総勢300を束ねる長。先の戦いで兵力を失ったとは言え十分な数だ。
負け戦のあと、魔王について行っていいのか疑問に思うものもいるようで、内輪揉めだけは避けたいようだ。
「魔王様が異世界より連れてきた新参者、一体どんな奴なんだ?」
「なんでも、我ら魔王部隊の底上げになるよう有能な魔法使いを連れてきたって話だぜ」
なんだか話が大きくなっていて不安になってくる。これも口上手な魔王がハードルを上げたせいなのだが・・・。
「おっ出てきたぞ!魔王様の横にいる黒いローブの男がそうだぞ」
人間というのが気付かれるとまずいと言うことで、黒いローブを着るように魔王に言われた。まあ確かに耳の部分が隠れているし、エルフや人間に近い魔族に見えなくもない。
「皆の者、ひれ伏せ!」
魔王がそういうと一同は床にひれ伏す、周りを一通り見渡した後、魔王と俺は階段を降りていく。
「あ・・・あの新参者、魔法詠唱もなしに宙に浮いてやがるぜ」
「魔方陣も出ていない、どうなっているんだ」
もちろん手品だからそんなもの必要ない、これを演じていたクリスエンジェル様、DVD高かったけど買って正解だったぜ。
ざわざわ・・・
「皆の者、面を上げい、この者が新たに皆の仲間に加わるコバという」
魔王がそう話した矢先、
「へへ、弱そうなやつだな」
と誰かの小さなヤジが聞こえた。