30.強制
「す、すごいでござる!!頭の中の選択が完璧に予言されていたでござる!」
小林(教科書通りの不思議解説、魔王に感謝だな。しかし、このマジックが通じるということは・・??)
「ふう、まるであの人のような能力ねえ」
「あの人?」
「ふふ、秘密よ秘密♪それよりも先に聞きたいことがあるんじゃないのぉ?」
「それはいい、最後に見せるものがある」
小林はポケットの中に手を入れる。金属の音が聞こえてくる。
「今度はコインで予言をしようか。今から1~5枚コインを手に取る。あらかじめお前が言う数字分コインを握る。当たっていたらなんでも言うことを聞いてもらう」
「な・・・なんでも・・・ふふ」
「駄目です!レイディ様、コバ様は私のおもちゃなんですから!」
「おいロッド、さりげなく普段の本音をいうんじゃねえ!」
「やるか?」
少し深呼吸してレイディが口を開く。
「・・・・いいわ、やるわ。だって負けないもの」
小林は手をポケットから出す。手をレイディのほうに向けながら音を鳴らす。
「・・・さあ、手にコインを握ったぞ。1~5の間で数字を言ってみるんだな」
小林はコインを握っていないほうの手でジェスチャーをしてレイディの返答を待つ。
「3よ」
「早いな。いいのか?手を開けるぞ」
小林の手にはコインが3枚・・・・予言は当たっていた。
「す・・・すごいでござる。トランプではなくコインでも予言ができるでござるか」
驚く魔王よりさらに驚いた表情の者がいた・・・。
「う・・嘘よ!ありえないわ!魔法でコインを消したんでしょう!」
「レイディ、どうしたでござるか?そんなにうろたえて」
「こいつは俺の予言が外れるよう、あえて3と言ったんだ。手には5枚のコインがあったからな」
「・・・ちょっとレイディ、待っているでござるよ!!」
こそこそ
「コバ殿、どういうことでござるか」
「お前ほんと手品好きになって場の空気とか見境がなくなってきたな、5だと当たりになるからあいつは避けるだろ?で、コインにこういうのがだな、で、1と2は除外されるからあとは・・・1から5の間と言って」
「うほおおお!なんでござるか!!すごいでござる!」
ため息をつきながらレイディが腕組みをする。
「魔王様~、もういいかしらぁ?」
「お、お待たせしたでござる!」
――――場の空気が張り詰めた状況に戻る。
「レイディ、お前の能力は・・・透視だな。・・・俺のいた世界のエックス線に似た方法で物体を透かせてその先のものをシルエットで見ることができる。ただし、金属やインクを大量に用いたトランプなどは透過できず向こう側が見えない、そうだろ?」
「・・・あーあー残念ねえ。もう少し遊べると思ったのにい。正解よ、セ・イ・カ・イI!」
「コバ殿凄いでござるよ!まだ拙者が紹介もしていないレイディの能力を言い当てるなんて」
小林は頭を掻きながら続ける。
「最初は俺らの頭の中でも覗ける能力かと思って、最初にしたビーウェーブってトランプの予言をしてみたんだが、あの時心の中で俺は次に何が起こるか話しかけながら進めていたんだ」
「な・・・なるほど、心が読めていたら次々に何が起こっても驚かないはずでござるな!!」
「まぁ全てリアルな反応に感じたから、思考を読み取るものではない可能性が高まったな。それで最後のコインで駄目だしってわけだわ、都合の悪いパターンに入らなかったところも更に確信につながったな」
「コングラチュレーション♪コバ様、合格よ!」
拍手して小林を称えるレイディ。
「細かいことは後で言うとして、私は他の人とは違って魔王様やロッドとは特別な関係なのよぉ」
「まぁ、魔王がいつものしゃべり方ではない辺り、変だとは思っていたが」
「えっ?!そうでござるか?ちゃんとしてたでござるよ?」(低音)
「今更低い声で、しかもしゃべり方は直ってないやないか!」
二人のやり取りを微笑みながら見るレイディ、ふと真面目な顔になると話に割って入る。
「魔王ちゃんとロッドちゃんは小さいころから世話してるからねえ、お母さんみたいなもんなのよぉ」
「お母さん?お前、お母さんっていうか・・・」
「あらぁ?コバちゃんそれは駄目よ!」
「な・・なんでござるか?!急に」
「だってこいつ男だろ?」
(魔王)「うええええええ?!」
手品には心理的強制法というものが存在します。
とても簡単という人もいれば、とても難しいという人もいます。ともかく奥が深いのです。




