100.夢
「それにしてもそろそろだと思うのにお前らしぶてえな」
「??なんです?」
松本は南のほうを見ると、南はうとうとしながら椅子にもたれかかる。
「大丈夫大丈夫、ってこれを言うほうが逆効果だったりしますか」
実は南を椅子に座り直させ少し困る。
「私が好きなのはあの凛とした占い師時代の明子さん!南君は好きではありません!いや違います!南君は好きですが整理現象は」
「よしこちらも眠ったようだ」
明子は真に松本を抱えさせ、部屋を後にする・・・がすぐに戻ってきて釘を刺す。
「おいへんたい、その子丁重にこっちに運べ。なんたって俺の後継者なんだからな、がっはっは」
―――――
「素晴らしかったでござる。疫病が全てなくなったでござる」
「本当にこれでよかったんだろうか、自然の流れに抗うような」
「何を言っているでござるか。実際に村の者たちは喜んでいるでござるよ」
「村に近づく人たちはもれなく死んでいると聞く」
「それではあの木の実を増やして」
「いや独占して品質を高めてこそ」
「・・・・・あっという間に3部族のうち2部族が抗争、君はどうして争いに参加しなかったんだい?」
「いえ、そういう指示がなかったでござるから」
「攻撃されていたら守ることさえもしなかったと?」
「はい、指示はなかったのでそうしていたかと」
「・・・・・」
人工的に増やそうと努力した実は、皮肉にも部族以外のものが持ち込んだ抗生物質の登場により、手入れが行き届かず放置されることにより自己で品種改良を繰り返し数が増える結果となった。
―――――
「ってなんだここ、暗い、いや、ほとよく明るいような」
松本が目を覚ますと群青色?と白?の混ざった不思議な空間にいた。
「松本君!ちょ、助けて」
南の声が聞こえる方向に松本が走ると、そこには黄色めの光と南が格闘していた。
「今度こそ間違いないでござる!明子殿には申し訳ないことをしたでござるなあ」
「ちょっと!話して!ゴキブリ野郎!」
「・・・??そんなに見えているでござる?ってか声が??」
「・・・わりぃ、南。俺にはお前が光ってる変なものの前で独り言を言っているようにしか見えん」
「うそお?!」
聞きなじみのある足音と声が近づく。
「ここは夢の世界です」
実がゆっくり歩み寄る。
「俺たち明子さんに眠らされてここから出れないんですよ」
「いいじゃないですか、寝させられてここにきたなんて、私なんてスタンガン2発、行ってこい、ですよ」
「あ、それはご愁傷様です」
実は空間をうまく利用し、あぐらをかきながら空中でクルクルと器用に回りだす。
「夢で見たことが現実で起きたり、同時に同じ夢を見たり、神のお告げを夢で見たり。夢についての昔話や実験は・・・・下手をすると心霊なんかよりずっと古く未だ解決していないものが多くあります、イデア論でいう、魂が抜けだして本当の世界のほうが夢の世界、寝ている間は魂のみの存在になってるとかなんとか」
「しっかし、地上では用がなくなって捨てられた神様を祀り、地下では最新科学を研究。そこで眠るとオカルト体験できるなんて・・・」
「なんて皮肉な話でしょうね」
実と松本が冷静に話をしていると南が光をはねのけて走り寄ってくる。
「ちょっとあのゴキブリ、私のファンだとか言ってサインくれって!でね、ビンタしてきてやりましたよ!」
「見えねえって言ってんだろ」
「あと何か言ってましたか?」
「あー、うー、明子さんに御免なさいと、えっと。実は大切になくならないように」
「せっかく実から解放されて、村の皆普通になれたと思ったのに、本来の使い方が必要になるときがきたとでもいうんでしょうかね」
実は地面にゆっくり立つと南のほうを見た。
「あ、あと。頑張ってって。上手くいくから。悲しいこともあるけれど応援してるって」
3人が目覚めると、嬉しそうな顔をしている明子が立っていた。




