エリカ
静かな海に浮かべた船で 何処へでもいけると思っていた
陽射しの中で 嵐も知らず 何もかもできると思っていた
変わらない日々の中で 変わっていくことを怖れて
変わってく時間の流れ からただひたすら目を逸らしていた
哀しみが宙に舞った あなたの声がした気がした
新しい季節だけが 立ち尽くす僕を包み込んでいた
小さかった歩幅の違い 同じ速度で踏み出していた
気づかなかった 離れていく距離
気がついた時には独りだった
背に伸びる道の途中で 踏みつけた花があるかもと
振り返ることもできず あなたがいない未来を目指していた
過去と未来と手を繋ぐ 現在が「行こう」と僕を嗾ける
想い出と願いごとが 流される僕をまだ迷わせる
蹴飛ばす石ころ 伝った涙 照らした夕陽 転んだ船
遠い公園 汚れたベンチ 忘れた言葉 撫でた幻
哀しみが宙に舞った あなたの声がした気がした
新しい季節だけが 立ち尽くす僕を包み込んでいた
吹き抜けた風の中で あなたの声がした気がした