第4話 サリーさん
人の価値観というものは不思議なもので、誰からなんと言われようとも決して変わらぬ時もあれば、容易く変わっていってしまうときもある。
そして人生に置いては自らの価値観が変わるということは、一種の人間的成長と受け取っていいと思うところでございます。
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「《Liberty Online》の世界へようこそ。私は案内役のサリーです。よろしくね。」
や……やばい。
何がやばいかって、全部がやばい。
最初は良かったんだ。
「リンク、スタート!」
とかアホなこと言っちゃったせいかどうかは知らないが、いつもなら横になって10秒ぐらいでフルダイブできるのが、30秒近くかかったのはまあ良しとしよう。
無事起動し、我が《ゴリラ》の待機ゾーンへ。
この待機ゾーンはスマホの待ち受けのように自由にカスタマイズできるが、俺は余りいじっていない。
せいぜいゴリラの置物が宙を漂い、背景には《Gorilla》の文字が踊っているぐらいか。
ちなみにゴリラの置物の名前は《タダゴリ》です。
漂うゴリラでタダゴリ。
エネゴリくんの遠い親戚かも。
まあ今日の用事はゲームのほうなのでさっさと起動しますかね。
「《Liberty Online》起動」
とタダゴリに見守られながら呟くと、視界がブラックアウトし、周りの空間に次々と広告が浮き上がってきた。
そして最後に大きく《Liberty Online》のロゴが。
そう、そして次の瞬間である。
次の瞬間、俺は俺の価値観が覆されたことを知った。
「猫耳娘ってかわいいじゃねぇかぁぁぁぁああああっ!!!!」
というわけで
サリーたんご光臨です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いやね、あれですよ。
今まで獣人って邪道だと思ってたんですよ。
ほら、俺って動物好きだし。
それがどうだっ!
明るめの茶髪にそこから飛び出す二本の猫耳!。
整った顔立ちに全てを見透かすかのような鋭い猫目!!。
そして、極めつけはそんな美少女の頬から伸びる左右3本ずつの猫髭っ!!!
パっ、パーペキだ。
何が邪道だっ!。
これこそが王道じゃないかっ!。
彼女はゲームのロゴが消えるのといれかわるようにして、受付の台とともに出てきた。
お名前はサリーさんと言うらしい。
「ゲームデータのダウンロードは済んでおりますが、当ゲームはまだキャンペーンを開始しておりません。よってキャラクターメイクをしても即座にゲームを開始する事はできませんが、キャラクターメイクを行いますか?」
目の前にYES/NOの選択肢が表示される。
もちろんYESだ。
キャラメイクにきたんだし。
俺は無言でYESの項目にタッチ。
フルダイブ環境なので、口頭で答えてもいいんだが、ほら、ちょっと恥ずかしくてどもりそうだしな。
べつにサリーさんを意識してる訳じゃないんだからっ!!
俺のちょうど胸のあたりの位置にうっすら青く光るキーボードが現れ、キャラクターメイクが始まった。
明日か明後日も同じぐらいの時間に投稿すると思います。よろしくお願いします。
次からやっとVRMMOっぽくなってきます。