第2話 《Liberty Online》って?
初回発売本数を2000本→10000本に変更しました。
持つべきものは友、とは良くいったものです。
どうやら一樹さんの家についたようですよ。
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「《Liberty Online》?」
「そ、略して《LO》。テレビでも特集されてたんだけど、みてない?」
「あー見たかもしんない。すっごいお金かけてVRMMO作ってるー、ってやつ。」
一樹の部屋に上がった俺はだされた麦茶を飲んで、さっそく聞いてみたのだ。
俺の動物愛護願望を叶える方法は、と。
そうすると一樹は《Liberty Online》って知ってるか、と逆に聞いてきた。
《Liberty Online》
三年前に技術が確立されたフルダイブ型──脳に直接映像や感覚などの情報を送り込んで、まるで自分がゲームの中に入り込んでいるような感覚を味わえる──のハードに対応した、今最も発売が心待ちにされているゲームソフトであり、その最大の売りは、ズバリ自由度である。
数千にも及ぶスキルや称号などを組み合わせて、自分が思い描く通りの戦闘や行動ができて、かなりの自由度が許されているらしい。
もちろん戦闘だけでなく、日々の生活も自分好みで彩ることができる。
かなりの開発費が《LO》の開発に当てられているらしく、前評判もかなり高い。
必然、手に入れることは非常に困難であり、初回発売予定の10000本は予約受付開始から30分で予約完売したようだ。
第2回発売は3ヶ月先になるらしい。
ふむ。
「で、その《LO》が俺の動物愛護とどう関係あるんだ?」
「ああ、お前さ、もう現実の動物ちゃんたちは絶対振り向いてくれないだろ?」
「なっ、そ、そんなことないぞ!いつかは俺の愛に彼らは気づいてくれるハズだっ。」
「そのいつかが来るにしても、今すぐは無理そうだろ?去年だって失敗したんだし。」
うぐ。
実は一樹は去年の誕生日も俺の夢を叶えてくれようと、俺にペットをくれたのだ。
しかも専門家によって調教済みで、誰にでも懐くはずだった。
しかし結果は惨敗。
俺の姿を見た瞬間そいつは逃走をしたのだった。
「おいさくらっ!だから泣くなよ。」
「ハッ、俺また泣いてた?」
「おうよ。」
「す、すまん」
「まあだからな、現実はとりあえず置いといて、《LO》の中で動物ちゃんたちとモフモフしないか?」
「できるのかっ!?」
「ああ。《テイマー》ってプレイスタイルがあってな。《LO》の中に出てくる敵対Mobを懐かせることが出来る。」
「モ、モフモフも出来るのか!?」
「モフモフも出来る!!」
きたぁぁぁぁぁあーーー!!!!!
と、とゆうことは、《LO》をすれば俺の長年の夢が叶うのか!!
まあ動物ちゃんたちではなく、未知のモンスターたちが相手ではあるが。
ええいっ、構うものか。
《LO》で俺は幸せになるんだー!!!!
ん?
でも待てよ。
俺初回発売のとき予約してないし、第2回の発売日も3ヶ月先………。
うん、いいもんね。
3ヶ月後にはモフモフできるってだけで生きていけるもんね。
……はぁ。
「おいさくら、ったく聞いてんのか?」
「あ、ああ。すまんな。何だって?」
「だから、《Liberty Online》初回生産版を二本親父がくれたから、誕プレに一本やる。」
「神かお前はっ!」
「神だ。」
「キモ。」
「ひどいっ!?人がせっかく…」
なんか一樹が言っているが無視だ。
おお神よ。
こんなアホなやつでも、コイツが俺の親友で良かったです。
感謝いたします。
「ってことは信二さんの会社が《LO》の運営なのか?」
「ん?ちがうぞ。俺の親父のとこはこんなデカいプロジェクトの主導とかはできないしな。ただ《LO》を運営するとこの社長さんと仲良くしてるみたいだから、その伝手なんじゃね?」
「なるほどなぁ……。感謝だ。」
一樹の親父さん、近藤信二さんはゲーム制作会社の社長さんである。
「ほれ、これだ。ありがたく受け取れよ。誕生日おめっとさん。」
「は、ははぁ!!ありがたき幸せっ。」
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