第1話 希望の光
夏、と聞くと我々はやはり海、山、そして花火とくるのが相場ってもんですが、近頃の若いもんたちはすっかりアウトドアに興味が無くなってきているようでございますな。
クーラーの効く部屋にこもってやれ漫画だとかゲームだとかを友人同士で回す方が彼らにとっては夏、なんでしょう。
まあ、技術の進歩でとうとうゲームの中にまで入れるような時代ですから仕方のないことかもしれませんなぁ。
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「誕生日おめっとおぉぉおおうっ!!!!さくらちゃんのために、超豪華誕プレ、用意しちゃいました!!」
「うるさいぞ一樹。あとちゃん付けやめろ。」
「冷たいっ!?」
「プレゼントがペットだったらいらんぞ。去年は酷い目にあったかんな。だがありがとな。」
「ふふん、俺が過ちを繰り返すわけなかろう。ちゃんと使えるやつだ。終業式終わったら一緒帰ろうぜ。俺の家で贈呈してやる。」
「はいはい、ありがたくいただきますよーっと。ほれほれ、用件すんだら帰った帰った。お前のクラスはここではないぞ。」
「昔はあんないい子だったのに…。最近なんか冷たいよね??もしかして、俺のことキライになっちゃった?」
「キモ。」
「ひどいわっ!!もういいっ、あたい帰るっ!」
そして奴は自分のクラスへ走り去っていった……。
本当に騒がしい男だな。
用件だけパパッと言って、さっさと帰ればいいものを。
まあ俺にとっては唯一の親友だから、奴がああやって絡んできてくれるおかげでリアルぼっちにならずにすんでいるんだが。
べ、べつにありがたいだなんて思ってないんだからねっ!!
俺の名前は篠原さくらだ。
女みたいな名前だが、男だ。
趣味はなんちゃって動物愛護である。
ちなみに奴の名は近藤一樹だ。参考までに。
まあ親友の誕生日プレゼントが待っているからな。
終業式なんぞサクッとカットだ。
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さて、終業式も終わったことだし、帰りますかね。
一樹ならいつものごとく校門で待ってるだろうし。
ちなみに今日は1学期の終業式なので明日からは夏休みである。
校門につくとやはり一樹が待っていた。
いやしかしこいつ来るのはえーな。
俺も割と早くきたつもりだったんだが。
「お、来たか。んじゃさっさと俺んちいくぞ。」
「はいよ。」
一樹は学校から歩いて10分ぐらいのタワーマンションに住んでる。
高校生のくせに下宿や寮ではなく、一人暮らしである。
まあそのおかげで夜遅くまで一樹の家で遊んだりできる。
「やーー、しかしやっとまた長い休みだな。今年の夏こそは動物と触れ合いたいなー。」
「まあ、お前は動物たちの嫌われ者だからな。」
そう。俺こと篠原さくらは、趣味が動物愛護と公言しながら、未だに動物に触れたことさえないのである。
とゆうか生まれてこの方動物に好かれた試しがないのだ。
我が家で買ってるインコのマイケル君(♂・3歳)でさえ、俺が餌を上げようとかごの扉を開けると、なんとかごの隅でブルブル震えながら縮こまっているのだ。
触ろうとしようものなら普段は温厚で、マイケルジャクソンの声まねをする以外静かにしているマイケル君が、けたたましい鳴き声をあげて死に物狂いで逃げ出すのだ。
ああ、神よ………
「おい!いきなり泣くなよ。気持ちわりぃな。」
「あれ?俺泣いてた?」
「もうバッチリ。」
なんと自然と涙がでていたらしい。
これはハズい。
「す…すまない。」
「いや、いいんだが。後な、お前の動物愛護願望、満たせるかもしれんぞ。」
「……え?」
こいつ今なんつった?
「いやだから、動物たちといちゃつけるようになると思うぞ。」
マジですか!?
すぐに第二話も投稿します。