「ときめき」って何!? ~サイドストーリー 王司編~
王司側のお話です。せつない乙女心を書いてみました。
今回からでも十分読めますのでよろしくです。
「由紀。ごめん。」
「どうして?」
「……好きな人がいる。」
私の大好きな優しい彼の声。
彼、王司 雅臣はこの明応学園の王子様と呼ばれる存在である。
見た目は、その呼び名の通り気品があり、さわやか笑顔で少し茶髪の清潔感あふれるかなりの美形だ。
性格も優しくサッパリしていて話しやすく、同性からも好かれる。成績も良い。学園の王子様だ。
その彼が、二つ年上の先輩(恋人)と卒業と同時に別れたと聞いて、告白したが振られた。そんな振った相手にも優しく変わりない彼の事を、今も密かに想う私の話である。
「ねぇ聞いた!王子様がフラれたんだって!」
「ええ!!」
「相手だれ!?」
「聖蓮女学院の二年だって!」
「なんで王子がフラれるの!?」
「その女、馬鹿じゃないの!?」
「見る目なーい。」
――ザワザワザワ。クラスの噂話。
「由紀、大丈夫?」
「うん。」
友達が私を気遣う。
私は胸の奥底で赤黒い闇が広がっていくことを感じた。それと同時に、本当に好きな人がいたのだという事実にショックを受けていた。
ある日。クラスの仲間でディズニーランドに行くことになった。
嬉しかった。雅と学校以外で会えることができるから。
私は、雅の見た目も好きだけれど、一番は人を気遣う優しい性格と優しい声が好きだった。
この王子様のような人に想われて、どうして振ることができるのだろう?
雅の良さがわからない人に雅を取られたくない!
私の方が雅を、とても想ってるよ。
「ねえ雅。」
「何、由紀?」
「今だけ雅の彼女になりたい。」
そう言って私は雅の腕に手を回した。
「やれやれ。」
その時だった。雅の表情が、突然変わった。
「誰?そいつ?」
雅の口調とは思えない、強い怖い口調でカップル(二人連れ恋人?)の女性の方に聞いている。
その相手は、見覚えのある聖女の女だった。
たまに駅で、雅とすれ違う。いつもその女を雅は見つめていた。
――ドクンドクンドクン。心臓よおちつけ!
「誰?そいつ?」
ああ。認めずにはいられないのだろう。雅はこの女が好きなのだ。
苦しい――。
私は暗闇に引きずり込まれていくようだった。
―――― End
読んでいただきありがとうございました!
本編もよろしくお願い致します!
シリアスモードで書きました。