5話 レオン・オリスティナ第三王子
こんにちは、ヒカリちゃんです。
一昨日はびっくりして気絶しちゃったけど、昨日は元気いっぱいでした!
沢山食べて、沢山動いて、どうやら五歳から家庭教師による座学が始まるらしいよ?
ようやくこの世界について詳しく知れる機会が巡ってきたよ!
それから、どうやら昨日の慌てん坊な執事長ことミューゼさんは、お父様の側近、お母様のシャル的ポディションの人らしいよ?
第一印象はあんなんだったけど、しっかりしてる人なんだね!
ふぅ……。
現実逃避はこれくらいで良いかな? もう少ししてたいんだけど、残念ながらもうお終い。
「ヒカリ、大丈夫よ? お父様もお母様も一緒よ?」
「うん……」
僕は応接室でお母様とソファに座っており、手を握っているのにやけに緊張している。
待つこと数分。
『コンコン』とノック音が響き、父と外着の国王陛下と王妃、そして、レオン第三王子が入ってきた。
「こんにちは陛下」
お母様が背筋を伸ばして立ち上がり、洗練されたお辞儀を披露。
「フィリア、堅苦しいのはよしてくれ。今日は息子のために来たんだ。同じ子を持つ親同士、気楽に話そうじゃないか」
「じゃあ、お言葉に甘えて。今日はよろしくね?」
「よろしく頼むよ」
気の抜けた陛下の声に応えるように言葉を崩し、父と母、陛下と王妃の顔が緩む。
「君がヒカリちゃん?」
「はい! はじめまちて、ヒカリです!」
精一杯大きな声で、王妃様にお母様の真似事の礼をする。
「あぁ、可愛いわ! フィリアどう教えたらこんなに礼儀正しい子になるの? シャルの教育の賜物?」
「私もシャルも何も教えてないのよね? 私の真似沢山してて、気付いたら?」
お母様と王妃は旧友なのか、凄い話が弾んでいる。
この場にいないシャルの話題まで出てるし。
そしてーー
「伯爵って大変だわ……男爵だった頃に戻りたい」
「全く、お前は昔から優秀なのに仕事したがらないよな? 私なんて国王だぞ? こんな無能なのに」
お父様と陛下も凄い話が弾んでいる。
そして、僕とレオン第三王子はと言うとーー
「この前は、ごめんなさい」
「えっと、わたしも、ごめんなさい」
「「……」」
お互い謝ったは良いものの、そこからはお通夜。
(レオン様、緊張してる……)
そりゃそうか。一昨日目の前で気絶した歳下の女の子が目の前にいるんだ。
ここは、中身高校生の僕が頑張らないと。
「おかぁしゃま、レオンしゃまとおにわにいきたい!」
「あら良いわね! 私たちも座ってるのもなんだし、皆んなで庭に行きましょ?」
庭があることは知っていたが、行ったことがない。
初めて行ってみたい一割と、どうにか打ち解けたい九割で外へ連れ出すことに成功した。
*
(庭、広っ!?)
初めて家の庭に来ました。
いやクソデケェ! 学校のグラウンドくらいの大きさあるぞ?
ゴール立てればサッカー出来そうだぞ?
どうやって管理してんだ? 庭師でもいるのか?
なんでこんな広大な広場で綺麗な噴水と、綺麗に花が咲き乱れてんだ。
「すごいきれいだね?」
「うん……!」
いやぁ、いいもの見たわ。
って違うちがう! これからスタートなんだよ! 落ち着け僕、落ち着けヒカリちゃん!
「あの、この前はたおれちゃって、ごめんなさい」
とりあえず、なぁなぁに謝ったさっきの謝罪から、正式に頭を下げる。
「僕も、ごめんなさい」
レオンも頭を下げて謝り、一緒に頭を上げて微笑みあった。
「もう一回、お名前きいてもいいですか?」
レオンの部分は憶えておるけど、家名はすっかり忘れてしまった。
この先、王家に粗相をするのも嫌だ。
「僕は『レオン・オリスティナ』ともうします!」
「『レオン・オリスティナ』よろしくおねがいします!」
さっきと同じようにお母様の真似事の礼をして、にこりと微笑む。
「きみの名前は、なんですか?」
「ヒカリは……」
レオン第三王子をしっかり見つめ、僕の今の自分の名前をーー
いや、私の名前を口に出す。
「『ヒカリ・ウィンガート』です!」
今、世界で一番大切な名前だ!




