4話 気絶……しました
「ん?」
「っ!?」
第三王子のレオン王子と目が合い、完全にビックリ顔で硬直した僕。
「しつれいします」
五歳とは思えない丁寧な口調で令嬢をかぎ分け、僕の前まで歩いてきた。
(やばい、やばいやばい、どうしよう……!)
自分の顔がどんどん真っ青になるのがわかる。
なんか眩暈もしてきた。絶対気のせいじゃない!
「どうしましたか?」
「っ!」
やばい、めちゃ話しかけられた! マジでどうしよう!
(アリアちゃん助けて……ってぇすげぇ魅入ってる!)
「大丈夫?」
もの凄い心配そうに見つめてくる。
自分でも顔色悪いんだろうなってわかるけど、原因は貴方に見惚れた自分に困惑したせいで、それで、あのーー
「え! ヒカリちゃん!」
アリアちゃんの大声を最後に聞き、僕は気を失い、その場で倒れ伏した。
第三王子の五歳の誕生祭、僕は序盤も序盤でリタイアです。
*
僕が目が覚めたのは翌日の朝。
まだ自室なんてないから母のベッドの上で眠らされており、目が覚めた瞬間ーー
「あ……フィリア様! ヒカリ様が起きました!」
「へ……? え!? ヒカリ!?」
「おかぁしゃま!」
シャルは奥様と呼ぶのも忘れて大声で叫び、隣で寝ていたお母様も飛び起き、お父様が執務室からここまで飛んできた。
「ヒカリ! 大丈夫かい? どこも痛くない?」
「おとぉしゃま、ヒカリだいじょうぶです!」
眠たさとかそう言ったもの全部忘れて、ただただ両親の抱擁の温かさに包まれていた。
いやー、しかしやってしまったね?
第三王子の誕生祭に、王子と目があって気絶とか、最悪のニュースだよな。
というか、五歳児の王子相手に気絶する元高校生男子って間抜け過ぎません?
まぁ今は四歳の女児なんだけどね?
ははは……はぁ……。
「おかぁしゃま、レオンさまは?」
「大丈夫よ? 少しビックリしてたけど、中止にはならなかったわ? 側にいたセルライト公爵、えっと、アリアちゃんが近くの人に声かけてくれて、大事にならなかったわ」
「アリアちゃん!」
僕が生誕祭をおじゃんにしてないか心配だったが、どうやらそうでもなかったらしい。
え、てか、公爵? あの子公爵様なの?
令嬢もの殆ど読んでないから詳しくないけど、公爵と侯爵があって、公爵が一番上なことは流石に憶えてるぞ?
王族除く最上位の貴族の令嬢に話しかけられたのか僕は。
「おかぁしゃま、アリアちゃんに、しんぱいかけてごめんなさいしないと」
公爵様だ。媚をうって損はない。
という建前一割と、この世界で初めて出来た友達という存在はヒカリちゃんにとっては大きな存在らしく、正直今マジで会ってお話がしたい。
「オズワルド、約束取り付ける事って出来るかしら?」
「何としてでも」
(おぉ……目がガチだ……)
なんか、これが仕事モードの父の目か。すげぇキリッとしてる。
そうと決まれば行動は早く、有無を言わさず父は部屋から去っていく。
「全く、旦那様は奥様とヒカリ様のこととなると容赦がないですね……」
「ふふっ、そうね? それが良いところなのよ?」
「存じております」
シャルは呆れ半分尊敬半分で微笑んでおり、まるでオズワルドの母のようにも見える。
(なんか、微笑ましい空間だな)
そんな空間を『ガタン』と響くドアが遮りーー
「大変です奥様!」
「執事長、貴方はノックも出来ないんですか?」
「げっ、シャルもいたのか!?」
シャルに威厳負けした見知らぬハンサムが入ってきた。
「いやそんなことより奥様! 国王陛下から、国王陛下からぁぁ!」
(いやアワアワしてないで要件言えよ!)
「落ち着いてミューゼ、とりあえず深呼吸しましょ?」
お母様が執事長を宥め、一つ深呼吸をさせる。
(これが、執事長……)
第一印象があまりに執事長とかけ離れている。
「申し訳ございません。国王陛下から、明日、レオン様がこちらにお越しになりたいとおっしゃったそうで……」
「あらあら、どうしてかしら?」
「唯一、昨日殆ど関われなかった客人ゆえ、少しだけでもお話が出来れば……と」
「……」
どうしましょうヒカリちゃん。
再び気絶フラグが立ちそうです?!




