3話 誕生祭
どうも、ヒカリちゃんです。
気付けば四歳になっていました。
え、第二王妃の誕生祭はって?
ははは、ずっと寝てて記憶ないよね。
一歳の幼女に誕生会ずっと起きてるのは酷な話だよ。
それからずっと両親に溺愛されながら育って、気付けば第三王子の誕生祭が目の前に迫っていました。
どうやら第三王子は僕の一個上らしく、伯爵令嬢の僕は当然婚約者候補。
マジで……どうしてこうなった。
「おかあしゃま……」
僕が不安な目でお母様を見つめる。
すると何かを察したように僕を抱きしめ、一言。
「可愛いわよヒカリ? 誰よりもヒカリが一番可愛い!」
「……」
ちがーう! 行きたくなんだよ!
なんで元高校生男子が五歳の王子の誕生祭に出なきゃ行けないんだよ!
しかも幼女の姿で!
なんかもう色々屈辱だよ!
それなのに僕の心身は四歳の幼女そのもので、その一言でとても安心してしまっている自分がいるんだよ!
「……頑張ってくりゅ」
何を頑張るのかわからないけど、取り敢えず適当に気合いをーー
突如『ガタン』と扉が開き、そこには目がキマっているお父様がいた。
「ヒカリ! あぁ、なんて可愛いんだヒカリ!」
お父様は大袈裟に膝をついて、まるで割れ物を触りように慎重に僕に触れる。
「おとぉしゃま! にあってましゅか?」
僕はその場でクルリと一回転。
「あぁぁヒカリ! 良く似合っているよ! お母さんとそっくりだ!」
「ありがとうごじゃいます! おとぉしゃま!」
正直、男からしたら着たいドレスなんて存在しないが、何故かお母様と同じ黄色のドレスに惹かれてしまったので、本能に従ってそれを選んだ。
令嬢もののテンプレとかがわからない以上、無難に令嬢の集団に混じってキャーキャーしてるのが丸いだろう。
(はぁ……なんでこんな心配してるんだ……)
くっそ、あの女神がちゃんと転生させてくれてたらこんな想いしなかったのに。
とりあえず、今日乗り切ればなんでも良いの精神で生誕祭に臨もう。
*
「皆さま、本日は我が息子『レオン・オリスティナ』の誕生祭に来てくれてありがとう!」
いかにもな王冠と赤いマントを羽織ったおじさんが声を上げて音頭を取る。
隣にいる小さな男の子が今言っていた『何とかレオン』君だろう。
すげー、金髪のショタだ。
「……おかあしゃま」
「大丈夫よヒカリ? あなたが一番可愛いわ?」
「……」
あのショタが格好いいと感じた僕は末期かもしれない。
マジで一回死んだ方がいい。
いや死んだ後の姿が今の僕なんだけど。
そんな風に心の中で悶え苦しんでいたら国王陛下の話が終わっており、ワイワイと幼い貴族の娘息子で賑わい始めた。
「ヒカリも行ってらっしゃい?」
「はい!」
前世でロクに友達おらずコミュ障だったのに、今は楽しみで仕方ない。
これが四歳児の心内、コミュ障なんてないんや。
お母様の手を離して、ゆっくり歩いて賑わいに混ざる。
「あなただあれ?」
「わたしは、ヒカリともうちます!」
突然話しかけられたのに、オドオドせず会話出来る。
なんて素晴らしいんだ四歳児のコミュ力! 前世の僕が大泣きするぞ?
「わたしは、アリアともうします!」
お互い形だけの淑女の礼を済ませてニコリと笑う。
空色の綺麗な髪が特徴的な女の子だ。凄く可愛いです!
「ねぇヒカリちゃん、レオンさまのあいさつにいきましょ!」
「え、アリアちゃん!」
何か言う前にアリアちゃんに手を引っ張られ、二人で第三王子の人だかりの前まで歩く。
「よくみえないね?」
「うん」
二人揃って出遅れたっぽい。
まぁ別に僕はいいけど、アリアちゃんが凄いしょんぼりしてる。
「みなさんこんにちは、レオンです!」
令嬢の人だかりに簡単な挨拶をすると「きゃー!!」と黄色い悲鳴が響く。
そしてーー
「「きゃー!」」
アリアちゃんと僕も同じように悲鳴を上げた。
(ん? 黄色い悲鳴をあげた? 僕が? このショタに向かって?)
僕は、自分の行動が信じられず、思わず迫真の顔で固まってしまった。
そして、そんな状況で、第三王子と、埋もれているはずの僕と顔が合ってしまった。




