第3話:異世界人
女の子はまた私のことを睨むように視線を向けてきた。
「…地名も分からないのにここに何しに来たの君?さっき、私は死んだはずだとか、急にここに来たとか意味のわからないこと言ってたけど」
あたりまえだ、私だって人から急にそんなこと言われたら、理解ができない。でも、本当のことを言うしかない。
「確信はないし、信じてはもらえないと思うけど……私、別の世界から来たかもしれないんです」
数秒間の静寂が訪れ、彼女の口から予想通りの第一声が出た。
「え」
(この反応は信じてないな…)
「信じられないよね、ごめん」
私は俯いて言った。
「んー…いやまぁ信じないわけでも信じるわけでも無いけど……確か異世界人がもう一人いるみたいな話を風の噂で聞いたことがあるね」
その事を聞いた私は唖然とした。
(異世界人?私だけじゃなくて、もう一人いる…?)
「もっとその人のことについて教えてくれない?」
「ごめんねー、教えたいのも山々なんだけど、詳しいことは何も知らないんだ、街の人が話していたのを小耳に挟んだだけだからさ」
彼女は申し訳なさそうに少し笑いながら言った。私は少し残念な気分になった。
「そっかぁ…」
「まぁ、信じるよ!君…っていうか異世界人?のことをもっと知りたくなってきた。一緒に僕が住んでる町に行こう、異世界人のことについて何か知っている人を探す。そうすれば君も僕も、知りたいことを知れるでしょ?」
彼女は急に私の顔に近づいてきて、食い気味に言った。
「は、はぁ」
「よし決定!それじゃ僕についてきて〜」
(すごいガツガツくるなぁ…)
「あっ、名前言ってなかったね。僕の名前はイオ、よろしくね〜」
「う、うん、よろしく。それで、ここの場所はなんて言うの?」
「ん?あぁ、君がまず知りたがってたのはそれだったね。ここはナゼダスって言って、大きな街がたくさんあるんだ。ほら、目の前に見える街があるでしょ?あそこが僕が住んでる街なんだ」
確かに崖から景色を眺めた時に、街がそこら中にあった。ナゼダスは広大な土地だ。そして、最初に出会ったスライムのことが気になりだしたので質問をしてみた。
「ほぇー……あのさ、さっきの崖の上でスライム?みたいなのいたよね」
「スライム?よく知ってるね、あれは魔物の一種なんだよ」
「魔物?」
「うん、魔物ってのは簡単に言うと敵なんだ。魔物はたくさん種類がいて、魔獣とか魔人とか総じて魔物って呼んでるんだ」
魔物は、異世界でよくいる敵というイメージしかないから、何となく分かっていた。
「さっきイオが私に話しかける前にスライムが爆散してたんだけど、なんでなの?」
「あれは僕がやったんだよ、君が無防備な状態で襲われていたからね」
イオは自慢げに言った。
「魔法ってやつ!?私も魔法使えるようになりたい!」
「魔法かぁ……君が使えるようになれるかは分からないなぁ。魔法使いとか剣士とかになりたい人はね、幼い時から魔導書を読んだり熟練の剣士から剣術を習ったりしていて、その道を極めて時間をかけてから、やっと魔法使いや剣士になれるんだ。でも、君が今から頑張って毎日魔導書を読む!って言っても時間が相当かかると思うし、まず魔導書の読み方も分からないでしょ?だから厳しいかなぁ」
でも、私は魔法使いになれるかもしれないというチャンスを手放したくはなかった。異世界に来たらやりたいことリストのひとつにもあるし、アニメオタクの夢として絶対に魔法を使えるようになりたい。
「私……頑張って魔法使いになる!だからイオ、あなたに魔法を教わりたい」
「んー………いいよ。異世界人が魔法を扱えるようになったらなったで面白そうだしね〜」
少し考えてからイオは言ったが、どこか嬉しそうな顔をしている。
「本当に!?ありがと!」
「でも、私も上手に教えられるか分からないから、期待はしないでね。さ、街に入るよ〜。ようこそ、僕が住む街へ」




