第1話:不運
目覚まし時計のアラームの音がしきりになっているのがわかる。だが私の体は起きることを拒み目を開けることができない。
「凛音〜、早く起きなさい」
「うるさいなぁ……え、やば!お母さんもっと早く起こしてよー!」
私はその返事をしてしばらく、布団が私を離してくれなかった。私はごく普通の高校生の黒井凛音。毎朝バタバタしているがいつもこんな感じ。
「いってきまーす」
高校に入って1年とちょっとが過ぎた今、高校生ライフはなかなか順調とは言えないが、仲の良い友達が最近できた私は毎日ルンルンで登校している。
「おっ、凛おはよー」
「おはよー!なんか今日ビジュいい感じじゃない?」
「え、分かった?実はさー好きな人といい感じでさ、今日放課後遊び行くんだよね〜」
この子は笹木舞、私のことを凛と呼ぶ大親友。最近恋愛がいい感じらしい。
「え!?今日私と一緒に新しくできたパンケーキ屋行くって言ってたじゃん!」
「あっ…え、えぇとじゃあ、好きな人も一緒でいい?3人で行こう!」
(めちゃくちゃ気まずいやつだ……)
「まぁいーよ、でも舞は私に奢りね」
「えー!まあしょうがないかー」
学校に着いて、いつものように授業を受けた。ちなみに授業はほぼ寝ている。そして迎えた放課後。
「はぁ〜疲れたぁ…あっ!凛、こっちこっち!」
舞が校門の前で待っている。相当疲れている様子だが、部活にも所属していないのに何に疲れているのだろうか。
「はいはーい…あれ彼氏は?」
「彼氏じゃないわ!あっちはもうパンケーキ屋にいて待ってるよ」
舞は頬を膨らまし赤らめながらそう言った。
「そっか、じゃあ早めにいこー!」
(いいなぁ、陰キャの私にも甘酸っぱい青春を送らせてくれよ)
「んでんで、彼氏とはどんな感じなの?」
「だから彼氏じゃないって!」
「あははっ、ごめんごめん」
その時だった。
「キャー!!!」
(なにが起きたんだろう……誰かの叫び声が聞こえる。頭が痛い…)
どうやら私たちは近くの工事中の建物の上から落ちてきた巨大な鉄の塊に、運悪く当たってしまったようだ。
(あぁ、私…死ぬのかな____)
私が次に目を覚ました時には、私は現実世界ではない別の世界を目の当たりにした。




