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【第6章】次に会うのは、デイジーの咲く頃 第11話

月曜日から水曜日はここでお店を開いて、木曜日から土曜日は近くの農家さんの所でアルバイトしているらしい。今日は木曜日だけど、わたしが来るから休んでくれたみたい。


「にゃーん」

「にゃーん」


猫の声が聞こえた。和室からリビングを覗くと、さっきの猫たちが部屋の中に入ってくる。


(あ……あの窓……開いてるんだ……)


「あらー、もう入るの?」

おばちゃんが2匹の猫たちに話かける。


「窓、開いてるんだね」

「室内飼いにしてないのよ」

「へぇ……」

「出たい時に、いつでも外に出れるようにしてる」


おばちゃんがわたしのために、ケーキを用意してくれた。和室からリビングに戻って、椅子にゆっくりと座る。


「ま、こんな感じかな」

「……猫ちゃん、いっぱいだね」

「雪乃ちゃんの事、好きみたいよ? 良かったね」

「えー……そうなのかなぁ?」

「うん。猫ってね、嫌いな人のとこには近づかないから」

「へぇ……そうなんだ……」


ちらりと猫たちに視線を移すと、がつがつと美味しそうに器に入ったご飯を食べている。


「都会だとさ、室内で飼うのが暗黙のルールだけどね」

「あー……聞いたことあるかも」

「ここは自然しか無いからね。外出してあげてるんだよ」

「ふぅん」

「猫ちゃん。大丈夫そう?」

「いや……可愛いなぁって……」

「ははっ! それは良かった」

チーズケーキの先端をフォークに刺して、口に運ぶ。


「ゆっくりしてったら良いよ」

「……うん」

「なーんにも無いけどね。ここ」

「……そっか。何しようかなぁ」

「だから何も無いんだって」

わたし達は声を上げて笑った。猫たちが一斉に振り返る。


「何にも……しなくて良いんだよ」

おばちゃんは急に真顔になる。


「そのために、来たんだからさ」

「そっか」

「そう。心を空っぽにして……ゆったりのんびりしてれば良いんだよ」

「何か、テレビCMみたい」

「あははっ!」


黒猫のクロちゃんが近づいてきて、テーブルの上にぴょん!と上がってきた。そしてそのままおばちゃんの肩に、もぞもぞと登っていく。


「えぇー……登ってるー……」

「いつもこんな感じだよ? たぶん雪乃ちゃんのとこにも来るよ。いづれ」

「えー……痛くないの? 肩」

「少しね。でもすぐ慣れるよ」


クロちゃんはおばちゃんの肩の上で、ピンと背筋を伸ばすと、満足そうな顔で窓の外を見つめていた。


(おっきいなぁ……)


ケーキと食べ終わると、「ちょっと買い物に行ってくるから」とおばちゃんは車で出かけてしまった。家には3匹の猫たちとわたしだけ。


(そう言えば……あんまり暑くないな。ここ……)


おばちゃんが駅に迎えに来てくれてから、ずっとしゃべっていたから気が付かなかったけど……この家の周りはとっても涼しい。9月はまだまだ暑いはずなのに、ここだけ10月下旬みたいな感じ。時間もすっかり日が暮れ始め、時計を見ると午後5時半になろうとしていた。


(……あっという間だったな。疲れた)


和室に移動して、ごろんと横になる。……気が付くと、そのまま寝入ってしまった。






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