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【第5章】大きくても小さくても命だよ 第13話

「あ……猫ちゃん」

「良かったね。あなたの事、気に入ってくれたみたいだよ」

「えへへ……ほんと?」

「うん。優しく頭を撫でてあげると良いよ。ゆっくり優しくね」

ゆっくりとしゃがみ込み、頭を撫でた。ゴロゴロ……ゴロゴロ……と喉を鳴らしている。可愛いハチワレちゃん。黒いんだけど、おでこの部分だけ白く、ハチの字みたいになってる。「ハチワレ」って言う言葉は、動画で勉強した。


「可愛いなー……」

「猫ちゃんはさ、正直だからね」

「……どういうこと?」

「ん? 嫌いな人の所には、あまり近づかないのよ」

「へぇー……」

「うるさいのも苦手だしね」

「だから優しくやるんだ」

「人間にする事と、同じ事をしてあげれば良いんだけどね」

「……そっか」


わたしは帰り道、お姉さんが言っていた「同じ命なのにね」という言葉が、頭から離れなかった。


これまでわたしは、猫ちゃんを「可愛い」としか思ってなかったけど……わたしと同じように生きてるし、意思もあるんだなって思った。


(人間と同じなんだな……)


いつも庭に来ている黒猫ちゃんに対する見方が、少し変わった気がした。


「良い猫カフェだったじゃない」

考え事をするわたしに、お母さんが優しく微笑む。


「……うん」

「猫ちゃんも可愛かったしね」

「うん」

「お兄ちゃんも来れば良かったね」

「……お兄ちゃんは来ないよ。こういう時、いつもそうだもん」


「お兄ちゃんに内緒だよ」と言って、お母さんはクレープを買ってくれた。


――


――


――


「いただきまーす」

クレープのお陰なのか、少し落ち込んでいたかのようなわたしの気持ちは、すっかり晴れ渡っていた。晩ご飯の時には、すっかり元通り。


「今日、行ってきたのか? 猫カフェ」

お父さんがカレーを食べながら、わたしの方を向く。


「うん。楽しかった」

「そうか」


「店員さんがすごく良い人でね」

お母さんが助け舟を出してくれた。


「へぇ。どんな感じだったんだ?」

「えっとねー……うーん……優しかった」

「……何だそりゃ?」

「冗談だよ。保護猫について、色々教えてくれたの」

「保護猫?」

「そう。最初はさ、『可愛いー』って猫を飼うんだけど……捨てちゃう人もいるんだって」

「……なるほどな」

「そういう猫ちゃん達のこと、保護猫って呼ぶんだよ。お姉さんが教えてくれた」

「ふぅーん。ちゃんとした店員さんだったんだなぁ」

「うん。可愛くて優しかった!」

「そうか。行って良かったみたいだな」


お兄ちゃんの方にちらりと視線を向けると、テレビを見ながら黙々とカレーを食べている。


「ね、お兄ちゃんも……今度行こうよ! 猫カフェ!」

「まぁ……気が向いたら」


(相変わらずだなぁ……)

(放っておけば機嫌も直るか……)


「絶対にお兄ちゃんだって行きたかったくせに」と思いながら、わたしはカレーをおかわりした。



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