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【第3章】砂時計は3度で壊れる 第16話

「お父さんとお母さんの時……君は何を見てきたの」

「えっ……」

「ハンバーグの時だよ」

「……」

わたしは……下を向いたまま、動けなくなってしまった。


「本来だったら……君はお母さんに、何て言ってたんだよ」

「……」

「もう、思い出してるんでしょ? ねえ」


わたしはお母さんのハンバーグが大好きだった。ある日、ハンバーグを思いっきり口に入れて噛んだ時……ガリ!!っと口の中で大きな音がして……歯が欠けてしまったことがある。きっと、作ってくれている最中に、何かが入り込んでしまっただけだと思う。


でもわたしはあまりにびっくりしてしまい、お母さんに泣きながら八つ当たりしたのだ。

「こんなマズい料理なんて……2度と食べない!」と大声で泣きわめきながら……


その後からだった。お母さんの様子がおかしくなり……お父さんの様子がおかしくなったのは。


「……分かってるよ。1回目の時に、思い出したから……」

「2回目の時もじゃない?」

黒猫は、さらに言った。


「あの時……女子トイレで、君が洋子ちゃんに言わなければ……」

「やめて!!!」

「いや。言うよ。真衣ちゃんは、君のこと……信頼してたんだ。だから好きな人のこと、言ったんだ。なにの君は……」


「もう……良いって!! 分かってるよ……」

「……そう? 分かってる?」

「何なのよ……」


心のどこかで、分かっていた。今回、砂時計を使って実際に見てきたことで……確信に変わっていた。


「健二のことだって、君だろ? 原因は」

「うん」

「何であんなこと……健二に言ったんだよ。可哀そうに」

「……うん」


あの時……スーパーで同じ学校の恵子ちゃんの前で、わたしは健二に酷いことを言うはずだったのだ。それからだった。家の中で健二が荒れ始めたのは――


「全部。ぜーんぶ。君が原因じゃないか」

「……」

「なのに、君ときたら……世界で一番不幸なのは、わたしですみたいな顔をしてたよね」

「……うるさい」

「全部、君の我がままじゃないか」

「うるさいな! 分かってるよ!」

「……そうやって。都合が悪くなると、すぐ大声を出す。君は何も変わってない」

「えっ……?」


顔を上げて黒猫を見ると……わたしから一切視線を反らそうとしない。


「何なの……? あなた……」

黒猫の口角が、ほんのちょっとだけ上がったように見えた。



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