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【第3章】砂時計は3度で壊れる 第10話

「よし、じゃ今日も始めるぞー!」

「起立!」

わたしは1時間目の社会から……ずっと胸がどきどきしている。いや、朝起きた時から……。今日で、すべてやり直すことができる……砂時計を使って。


(……いつやろう)

(休み時間にしようかな……? 昼休み……? 放課後かな……)


休み時間も、昼休みも。真衣ちゃんは誰かと一緒にいる可能性が高い。放課後だって……1人で帰るか分からない。


(ん? 別に……誰かがいても、良いのかな)


昨日、お父さんやお母さんがいた時に使ったことを思い出してみると……別に色々な人がいたって良いような気もする。


(じゃ、昼休みに……しようかな……)


決行する時間が決まった。今日のお昼休みだ――

午前中の授業は、まったく頭に入ってこなかった。


わたしは珍しく給食を残した。いつもは「もうちょっと食べたいな」と思うほどなのに、今日は敢えて少し残したのだ。……落ち着かせる時間を、作るために。


賑やかな教室。わたしは机を一緒に向けてはいるけれど、誰も話かけてくれる人はいない。わたし一人を除いて、皆笑顔なのだ。


(よし……やろう!)


呼吸が少し苦しい。1回実験してるんだから……上手くいくに決まってると思うけれど……ものすごく緊張する。


(真衣ちゃんと……まだ仲良く話をしていた時……)

(そうだ。1年生の最初の頃までは……ずっと仲良しだった……)


わたしは机の中に両手を入れて、砂時計にギューッと力を込める。そして、真衣ちゃんと毎日仲良く帰っていた頃を強く、強く思い出した――


一瞬ふわっと宙に浮いた感覚になり……昨日と同じく、視界が真っ白になっていく。そして耐えられないほどの眠気が、急に襲ってきた――


――


――


――


「香織ちゃん! おはよ!」

「あっ! 真衣ちゃん。おはよー」


(あっ……わたしがいる……)


前回と同じだった。またわたしは浮遊霊がちょっと上から景色を覗き込むように、ふわふわと漂っているような状態。


(ま……この状態でも、別に良いけど……)

(今、いつだろう……朝かな)


いつも見る校門。歩いている『わたし』に真衣ちゃんが後ろから追いついたところだった。


「ねぇ、香織ちゃん」

「ん? 何?」

「他の人に言わないで欲しいんだけどさ――」


(あっ……もしかして……)

(真衣ちゃんの好きな人、教えてもらった時……?)


「何? 言わないよー」

『わたし』は真衣ちゃんの方を向いて、無邪気に笑っている。


「ほんと?」

「当たり前じゃん! 親友だよー? わたし達」

「あのね……」

真衣ちゃんが『わたし』の耳元で、何か呟いた。……きっと悠太くんのことのはず。


(……そうか。ここから……おかしくなるんだ)


「えー!! マジー!?」

「……うん。これ……香織ちゃんにしか言ってないから……ほんとに誰にも言わないで?」

「もう……当ったり前じゃん!」


(それをさ……言っちゃうんだよ。あんた……)


「悠太くんって、2組のだよね?」

「そうそう! ……もう、カッコ良くてー!」


(やっぱり。……2組の悠太くんの話だな……)

(はぁ。何でこの時、言っちゃったんだろ。わたし……)


後悔の念を抱えながら、わたしは2人の後を追って学校へと入っていく。もちろん誰にも気付かれてはいない。


(……んっ?)


昇降口を通って、教室へ向かう『わたし』と真衣ちゃん。その先に……見覚えのある女子がいた。


(洋子ちゃんだ!!!)


そう。去年の1年生の時、『わたし』はこの後、洋子ちゃんにこっそりとバラしてしまうのだ。真衣ちゃんが悠太くんのことを好きなことを。


(そっか。この後……洋子ちゃんに言うんだ。『わたし』)


「じゃ、バイバーイ!」

「あっ、うん。また帰りね!」

『わたし』と真衣ちゃんは1年生の時、違うクラスだった。お互い手を振り、真衣ちゃんは教室に入った。……『わたし』は廊下を真っすぐ進んでいる。


「あっ、洋子ちゃん! おはよ!」

「ん? あぁ、香織ちゃん。おっはー!」


(ああああ……ここだぁ……この後だよね……確か)


何となく思い出してきた。確か……『わたし』と洋子ちゃんはトイレに向かうはず……そこで手を洗いながら、『わたし』が言ったはず。


(絶対に……『わたし』に言わせないからね……)


チャンスを逃すまいと、わたしは集中して歩く2人についていった――


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