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【第3章】砂時計は3度で壊れる 第9話

「で? どうだった」

黒猫がまじまじとわたしの顔を覗き込みながら言う。その目はいつも通り、好奇に満ちていた。


「……本物じゃん……これ」

「だろ」

ふふんと少し黒猫が背筋を伸ばす。表情はどこか誇らしげに見える。


「驚いたよ……わたし」

「これで信じた?」

「そりゃ……信じるもなにも」

「でもさ、1回目……親に使ったんだね」

「うん……テストのつもりだったんだよ」

「……テスト?」

首をかしげて、きょとんとした顔をしている。


「そ。本当はさ、学校の友達に使いたいんだ」

「……そうなんだ」

「うん。でも、いきなり……信じられないよ。こんな話」

「だから、身近な人でテストしたんだ?」

「……ちょっと。その言い方……」

「でも、本当のことでしょ?」

「まっ、まぁ……」

「じゃ、これで学校の友達に使えるね」

にこっと黒猫が笑った気がした。テレビやネットで見る猫と違って……何だろう?黒猫の顔って、人間みたいだなって思う。……この子だけなのだろうか?


「あっ……!」

わたしは黒猫に聞きたいことを急に思い出した。


「何。どうしたの」

「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」

「ん? 何」


前にわたしに言っていたこと。実際に今回、体験したけど……まだ理解できてないことがいくつかある。


「確か……何だっけ『入り込める』みたいなこと……言ってなかった?」

「うん。言ったね」

「でも、わたし……入り込んでなかったよ? 宙に浮いてた感じっていうか」

「それは、イメージが足りなかったからだよ」

「……イメージ?」


黒猫は「どうせ砂時計を握っただけだったでしょ?」とわたしに言った。どうやら、その場面を思い浮かべることはもちろん、入り込みたい相手のことを、強く想わないといけないらしい。


「ふぅん……そういうこと……」

「そう。じゃないと、今回みたいに浮遊霊みたいになるね」

「何よ……浮遊霊って」

「例えじゃん。例え」

「でもさ……それはそれで、別に良いってことよね?」

「浮遊霊でもってこと?」

「そう。今回だって……それで上手くいったしさ」

「まぁ。香織ちゃんがそれで良いなら」

「引っかかる言い方ね……」

「だからこの前、言ったじゃん。多分それは無理だよって」


(なるほど……だからこの前、あまり詳しく教えてくれなかったんだ……)


でもわたしは、浮遊霊みたいになれるだけでも、十分スゴイことだと思っているので……そこまでこだわりはない。


「……とりあえず、分かった」

「もう大丈夫?」

「いや、あと一つ」

「まだあるの?」

「うん。これも君が言ったことなんだけど」

「うん」

「『消える』って言ってたよね? これ使うと」

「うん。言ったね」

「それって……どういう意味なの?」

「……じきに分かると思うよ」

「何よ、それ」

「別にさ、命に関わる訳じゃないって言ったでしょ?」

「……うん」

「そしたら、それが理解できたら……使うの止めれば?」

「教えてくれないの?」

「……香織ちゃんはさ」

「……」

「聞きすぎるよ。……ちょっとは考えてよね」


「あぁ、もうこんな時間か。帰らなきゃ! じゃね」

黒猫との時間は、そろそろ終わりらしい。夜の8時50分を過ぎた頃に、わたしの部屋に入ってきた黒猫。ちらりと時計を見ると、そろそろ夜の9時になろうとしていた。




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