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【第2章】君たちを繋ぐパレット 第9話

「にゃーちゃん! 行ってきまーす」

「お家の事……ちゃんと見張っててね?」


パパとママは朝になると仕事に出かける。ここからは……わたしが家を守る時間。


窓の外をじっと眺める。不審な人はいないか?いつもと変わりはないか?

じっと微動だにせず、外を見続ける。パパとママは「にゃーちゃんにしか出来ないから。よろしく頼んだよ」と言ってくれるから……わたしはいつも気合が入っている。


(んっ……?)

(……何か、今……動いたよね?)


目の前は、一軒家が建っている。家の周りは綺麗に掃除がされていて、ゴミも落ちていないし、草も生えていない。何かあれば、わたしのセンサーにすぐに引っかかる。


今日はなぜか……家の端っこで「何か」がちょろっ……ちょろっ……と動いているような気がした。


(何だろう? 何かがたまに動いてる気がするのよねー……)

(パパとママが帰ってきたら……これは報告しないといけないな……)


ずっと見ているのも疲れるので、時々サボって寝ていることは、パパたちには内緒。


(ふあぁぁぁ……寝たなぁー……)


両腕をぐっ……ぐっ……と伸ばし、ストレッチを入念に行う。そしてまた外のパトロールに目を光らせる。忙しい。


(んっ……? やっぱり……さっきの場所)

(絶対、何かいるよね……)


朝と同じ場所。チラチラとたまに何かが動いている。じっと見続けていると、いよいよ「何か」が動き出し、半分以上が家の隅から姿を現した……。


(えっ……!?)


わたしと同じ、猫の姿。

そして……見覚えのあるハチワレのおでこ。黒と白だし……あれは……


(ハチ……!?)


一瞬わたしは頭が真っ白になった。同じクラスで先生から授業を受けていた……あのハチなの?まさかね。……でも、そっくりだ……


「にゃー!!(ねぇー!!)」

「にゃぁーーー!?(ハチなのーーー!?)」


わたしの声が聞こえていないかのように、ハチに似た猫は周囲を警戒しながら見回している。のそっ……のそっ……と鋭い目で左右を見ながら、家の周囲を歩き回っていた。


(聞こえてないんだ……)

(どうしたら良いんだろう? わたしの力じゃ……窓も開けられない)


窓を1枚隔てて、久し振りに見る仲間。それがハチじゃ無かったとしても……確かめたい。どうしたら良いんだろう?と頭を捻る。


(あっ……そういえば……)


わたしは校長先生に最後、言われた言葉を思い出した。


「空を見上げなさい。寂しくなったら」

「君たちには力が備わってる」

「君たちは、いつだって……空を通じて繋がってるんだ」

「仲間の事を想う時……空を見上げなさい。きっと想いは通じるから」


(空を見上げなさいって言ってたな……あれって……どういうことだったんだろう?)


わたしは家の中から、窓の外に見える空を見上げた。


(校長先生……? 空、見たよ。)

(力があるって……どんな力があるの? 教えてよ)

(あの猫と……話をさせてよ……)


……ザーーッ……


頭の中に一瞬だけ砂嵐のような音が聞こえた気がした。


(うわっ……何? 今の音)

窓の外を見ると、さっきの猫もわたしと同じようにビクッ!と動いていた。そして……空を見上げた。


(あれっ……? 何だこれ……?)


わたしの頭の中に、しゃべってもいないのに……ハチの声が聞こえる。


(えっ? ハチ? ハチなの?)

(……え? この声……クロか? どこだ?)

(やっぱりハチだ! 前だよ前。ハチの目の前の家!)

(どれだ……? あっ! クロ!)


ハチだ!

やっぱりハチだった!

わたしの家の前まで、ハチが駆け寄ってきた。


ハチ……



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