表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/118

【第7章】やんちゃな彼氏は、子猫で更生! 第12話

『トイレと水、あとはご飯! ちゃんと用意してあげて下さいね』

『猫ちゃんはキレイ好きな子が多いですから』

『トイレ掃除は特にマメにしてあげて下さい』


俺は家に帰ってから、女性が教えてくれたことをすぐにメモした。「絶対に忘れるな」と思ったからだ。別に俺の仕事の面接なら忘れたって……まだ良いけど、猫のことだから。忘れたら大変だと思った。


「ほら。ここにトイレ置くぞ? いいか?」

「飯はこっちな。トイレと離しとくぞ? 分かったか?」


だいぶ部屋に慣れてきたらしく、テレビの上に飛び乗ったり、押し入れの中を勝手にガサゴソと探検をするようになった。


(ま……元気になってきたってことにしとくか)


あっちに行ったり

こっちに行ったり

家の中をうろちょろと動く黒猫を見て、さらに安心するようになった。


(でも……だいぶ金、使っちまったなぁ……)


トイレで2,000円くらい。エサで1,000円くらい。極めつけは……さっきようやく完成したキャットタワーだった。「3,000円くらいで買えるだろう」と思っていた俺は……ホームセンターで度肝を抜かれた。20,000円近い金額だったからだ。


いくつか種類があったことは、ラッキーだった。俺は一番安い8,000円のキャットタワーを買ってきて、組み立てた。


(マジ……金、無くなるぞ……これ)


ぴょん!ぴょん!と怪我をしているにも関わらず、上手にタワーを登っていく黒猫。その姿を見ているだけで「まぁ……何とかしていくしかねぇか」と思うようになる。……不思議なもんだ。


『猫ちゃんは広い部屋はあまり要らないんです』

『上下運動の方が大切だから……高くてジャンプできる場所、作ってあげて下さい』

『キャットタワーを買うことができるなら、それが一番良いですけどね』


一番安いキャットタワーだって8,000円だった。正直言えば、「高すぎる」と思った。買わないで帰ってこようと思っていたけれど……女性の言葉が頭から離れなかった。


それに……俺が1回で負けるパチンコ代に比べれば安いと思ったのもあった。5万円も自分に使えるのに、猫に金を使ってやらないのも……何か違う気がした。


(ま……元気にやってくれれば良いよ)


布団にごろんと横になりながら、窓の外をタワーからじーっと見ている黒猫を、俺は眺めていた。そしてそのまま……気付いたら眠っていた。


「……!」

「……ぁ!」

「に……―!」

「にゃ……」

「にゃああ……!」


「わあ!」


耳元で鳴き続ける黒猫の声で、俺は目が覚めた。今までは家の外から聞こえてきた声。それがわずか15センチほどの距離で聞こえると……変な感じがする。


「……何だよ?」

「にゃああーー!」

「どうした? てか……だいぶ元気になったな」


俺は黒猫の頭をよしよしと撫でる。


「……そうか。名前、決めねぇとなぁ……」


「お前」でも良い気もしたけれど、なぜだか「名前で呼んでやりたい」という思いが沸き上がってきた。


「何がいい? ……お前の名前」

「にゃぁ!」

「ちゃんとしゃべれって。分かんねぇよ」

「にゃっ!」

「……にゃーにゃー鳴くから……『にゃーちゃん』にするか?」

「……」


急に黙り込む。


「何だよ……嫌なのかよ? まぁ……ベタ過ぎるもんな」

「にゃー」

「ははっ……お前、言葉分かるのか?」

「にゃっ」

「ふっ……じゃぁ……クロにすっか? 黒いから」

「……にゃ!」

「よし! 決まりだな。お前は『クロ』だ」

「にゃーー!」


キラキラと目を輝かせながら、今日一番の声で鳴いたクロ。病院の先生が言うには生後3~4ケ月ってとこらしい。


トイレや飯。キャットタワーも準備して、俺とクロの生活は本格的に始まっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ