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【第7章】やんちゃな彼氏は、子猫で更生! 第8話

「えっ……? もう7時か……」


コインランドリーから帰って、そのまま朝の7時まで寝ていた。「とりあえず飯だな……」と思い、ぼさぼさの頭で財布と鍵を手に取る。


ガラララ……


さっきまで暗くなりかけてたのに、白い朝日が寝起きの目にはキツい。サンダルを履いてドアを開けた。


「にゃっ」


昨日の黒猫だった。玄関の軒下で、うずくまるような姿勢で俺に向かって鳴いた。


「おわっ……お前……まだいたのか?」

「にゃっ」


昨日と違って、必死にお願いしてくるような顔じゃない。朝、学校で友達に会ったかのような表情で、小さく鳴いている。


「『にゃっ』っじゃねぇよ。どけよ。飯買いに行くんだからよ」


「にゃっ」

「あぁーん」


すくっと立ち上がり、さっきよりも大きな声で俺に向かって鳴く。


「あ? 何言ってんだよ。言葉しゃべれよ」

「にゃあーー……ん」

「分かんねぇって。とりあえず行くからな」


俺は黒猫に構うことなく、車に向かう。途中振り返ってみると、その場でずっと俺を見続けていた。


(まったく……何だよ、あいつ……)


「はぁ」とため息をつきながら、いつものコンビニへと向かった。


「いらっしゃいませー!」

夕方の学生バイトと違って、朝は元気な声が飛ぶ。主婦だろうか?女性たちがてきぱきと機敏に動いて仕事をしている。


(……ぜってぇ無理だな。俺)


この中に混ざり、こんなに手早く笑顔で仕事をするのは……俺には絶対に無理だなと、ぼさぼさの頭を少し押さえながら思った。


(いっぱいあるな。からあげ弁当……)


どの弁当も一番上まで積んである。迷うことなく、積み上がったからあげ弁当を1つ取り、カゴに入れる。そしてコーラを1本。


(……)


「……一応な」そう思いながら、俺はペット用品売り場に向かい、昨日と同じキャットフードを2つ、カゴにぽいと入れた。


――


――


――


「にゃあああー……」


玄関に向かって歩く俺に気付いたらしく、黒猫は立ち上がって鳴き出した。「待ってたよ」と言わんばかりに……。


「……お前、ずっといたのかよ」

「にゃああー……」


夕方だったり、落ち着かなかったりで、気が付かなかったけれど……よく見てみると黒い毛はつやつや。俺は猫を飼ったことがないけれど、元気そうだし……怪我とかしてなさそうに見える。……まぁ、これだけ元気ににゃーにゃー鳴くなら元気なんだろう。


「飯。買ってやったぞ」

「でも、また後でな」


不満そうな黒猫を横目に、俺はドアを開けて家に入って行った。


「にゃー!」

「にゃああああー……」

「あぉーー……ん」


ドアの向こうで鳴き続ける黒猫。ガラス張りのドアの向こうには、黒い物体の影が見える。動く気配はまったくなく……こっちに向かって、ずっと鳴き続けている。


「あー……! もう……」


俺は閉めたばかりのドアをガラッ!と勢いよく開けた。


「あんっ!」


嬉しそうな表情で鳴くじゃねぇか……。目がきらきらと輝いているように見える。


「何だよ……お前。うるせぇなぁー……もう」

「にゃあ!」

「『にゃあ』じゃ、ねぇんだよ……」


台所から昨日の皿を持ってきて、買ったばかりのキャットフードを乗せる。


「ほら。少しな」

「にゃー!」


(マジかよ……だりぃな)


がつがつを朝飯を食っている黒猫の横に、俺も座り込む。逃げる様子はない。……相変わらず飯に目がないらしい。


「……俺も、食うか」


玄関先で買ってきたからあげ弁当のビニールをはがし、黒猫の横で食べ始めた。


「にゃーん!」


今さっき食べていたキャットフードから顔を上げて、今度は俺のからあげ弁当に向かって鳴き始める。


「あ!? やんねーぞ?」

「にゃあー!」


しゅんとしたかのように、再びキャットフードを必死に食べ始めた――



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