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【第7章】やんちゃな彼氏は、子猫で更生! 第2話

駐車場に車をとめて、すぐ真裏にある階段を5段上る。


(……ん? まだ帰ってねぇのか……)


家賃3万円の平屋。住んでいる俺から見ても「汚ねぇなぁ」と思う。でも、駐車場が付いていて、家賃3万円なら……文句は言えない。電気が消されて、真っ暗な家の鍵を開ける。


ガラララ……


昭和感の残る、築60年近い平屋。道路から脇に入った、誰も通らない静かな場所にあるのも、この家を借りる決め手になった。


「……はぁ」


万年床になっている、敷きっぱなしの布団。ごろんと寝転がって、大きくため息をついた。


(どうすりゃ良いんだ……)


俺――藤谷翔太は、高校を卒業してから……ふらふらしている。先月、21歳になってしまった。名前を書けさえすれば、誰でも入れるような高校だった。


卒業してから一度就職したこともあった。地元の小さな自動車整備工場。「工場」と言っても……社長が1人でやっている小さな所だった。頑張って2年ほど働いてみたけど、クビになった。


社長と喧嘩してしまったからだ。それからは半年ほど、バイトしながら……何とか家賃だけは払うようにしている。


ガラララ……


「……ちょっと……」

ドアが開くとすぐに、真美子のあきれ返ったような声が聞こえた。


「ねえ、翔ちゃん」

「……何だよ」

「もしかしてさ……パチンコ、行った?」

「……別に良いだろ」

「……」


「面接……行くって言ったよね!?」

狭い平屋の中に、真美子の怒鳴り声が響き渡った。


「朝……『ちゃんと行く』って言ったよね!?」

「ねえ!!」

「いい加減にしてよ……!!!」


「ねえ……」

「いい加減にしてよ……」

膝から崩れ落ちて、顔を手で押さえながら泣き出した。


真美子は俺と同じ21歳。高校からずっと付き合っていて、去年同棲を始めた。……その頃はまだ俺も工場で働いていた。


「こんな俺でも……将来結婚してくれるかも知れない人がいるのか」と思い、頑張ってはみたが……結局こんな有様だ。まだ結婚はしていないが、真美子も朝からバイトを掛け持ちしながら働いている。


「増やそうと思ったんだよ」

俺は真美子の方を向きもせず、スマホを眺めながらぼそりと呟いた。


「……えっ?」

「金。増やそうと思ったんだよ」

「……働けば良いじゃない……」

真美子は真顔でゆっくりと俺の方を向く。


「そしたら……パチンコなんか行かないで!! 働けば良いじゃない!!」

「……」

「何で!? 何でなの!? 私はこんなに働いてるのに……」

「うるせぇなぁ……」

「何で私だけなのよ!! 翔ちゃんもちゃんとやってよ!!」


「うるせぇんだよ!!!!」

握りこぶしで壁を力任せに叩いた。俺の声と、壁の音に……真美子は目を大きく見開いた。


「……サイテー……」


頬を伝う涙を拭いながら、真美子は静かに出ていった――










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