6話 噂の大男
【人物早見表】
囚人番号4番 レイ・アレス
囚人番号5番 ミヤビ・エイレン
囚人番号14番 リーバ・イマムラ メガネ
囚人番号16番 ユウヤ・スジミヤ ヤンキー
囚人番号6番 ヴァンス・ビルーズ
階段を上がった先にいた大男の胸には「6番」という文字が刻まれていた。
「・・・」
「6番......あ!お前、ヴァンスとかいう奴か」
ユウヤが目を見開いて言う。
「ああ。お前達は何者だ?」
ヴァンスという男は、表情一つ変えず。こちらを訝しむような視線を向けている。
「俺は16番。今日ここを初めて使ったんだが、ソファがぐらついててな。少し動かしてみたらこの通路があったんだ。」
ユウヤは冷静に俺らの計画が悟られないように説明をした。
「そうか。お前達の時間は終わってるはずだ。早く出ていけ。」
そうして、俺たちはソファを元の位置に戻し、部屋を後にした。
「っあっっぶねぇ〜〜すげぇなユウヤ」
「ああ。咄嗟に嘘をつくのは慣れてるからよ」
自由広場の角。人の寄り付かない場所に俺たちは集まった。
「そういえば、鍵はかけたの?」
ミヤビが俺に向かって聞く。
「あー。これで動かなくなってたら怪しまれるだろうなって思って閉めてこなかったわ」
ユウヤは元々ぐらついていて......と、言い訳をした。その手前鍵なんか閉め出したら嘘が露呈してしまう。
「ま、そうなるよねぇ〜」
「にしてもアイツ。怒ってるって言うか、すげぇ感じ悪かったな。」
「感じが悪いと言うより、かなり私たちのことを怪しんでいましたね。」
14番さんことイマムラさんの意見が正しいだろう。かなり無愛想なようにも見えたが、あれは俺たちのことをかなり警戒しているということでもある。
「そういえばユウヤさん。なんで彼の名前を知っていたんですか?」
あの時、ユウヤさんは6番のことを「ヴァンス」と、呼んでいた。
「ああ。実は同部屋の奴から噂を聞いててな。」
そのタイミングで人が何人か近くまで来てしまったので、この時間にはあまり利用されていない浴場へと向かうことにした。
_________
大浴場
この監獄内にある大浴場は自由日のみ利用することができる。
広さはそこそこで、収容人数である20人が一気に入ればギチギチになる程度だ。
「で、あの男は何者なんです?」
「あくまで、噂だかな。『リオン団事件』って知ってるか?」
『リオン団事件』。うろ覚えではあったが、脳の奥にはたしかに記憶があった。
十数年前、『リオン団』という王国騎士団が存在した。リオン団は王国国民、そして国王を危機から守るため設立された騎士団で、世界最高峰の戦力と言われていた。
ある日、外国からの奇襲を受けリオン団が出動。だが、国王は死亡、さらには国王のいた城自体が焼け野原になっていたという。
城といっても、そんな古風なものでもない。最新のAI技術が使われた厳重警備、外装こそファンタジー作品にでてくるような洋城だが、中は刑務所顔負けのセキュリティーを誇っている。
そして不可解にも、その時の騎士団数名が行方不明となっている。
「裏切り者がいる。」「奴らは逃げたんだ」と、世間では騒がれ、今でも指名手配書が全国に張り出されている。はずだ。
「お前らがニュースをみたかはわからないが、指名手配されていた騎士団が見つかり、そいつが団長だったというところまでわかった。そいつは熊のような大男で、恐ろしい目つきをしていたらしい。で、そいつがアイツなんじゃないかって噂されてるんだ。」
ここに収監されるには相当な犯罪をしていないといけない。国王の殺害、器物損害......裏切りが事実だとしたら最大級の刑罰を与えられる。なら、ここにいるのも理解できる。
「奴が相当な戦力を持っているのは間違いない。そして、ミーティングルームを1人で使うなんてのはありえない。」
ユウヤさんが棒少年探偵のおっちゃんようなそぶりをして目を瞑り下を見る。
「奴は脱獄をするつもりだろう。なら、仲間にした方がいいんじゃねえか?」
つづく。
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