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砲撃の獄艦  作者: 樽宮銀
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3話 協力者


4日目 朝

 ミヤビが調理室に送られてすぐに、残りの囚人たちも刑務作業所に案内された。

 刑務作業所は大きく分けて3つある。

 調理、船内菜園、工場作業だ。この艦は出港後太平洋の真ん中を突き進む。そのため、途中に寄れる港などはなく。ある程度自給自足しなくてはならない。

 

 今日の俺の仕事は船内菜園。きっとミヤビも調理室を探索してくれてるだろう。

 俺もなにか脱獄の手掛かりを探さなくては。

 船内菜園に配属されたのは俺を含めて4人。

 メガネをしたおとなしそうな男が14番。平成ヤンキーのような風貌をした16番。どこか女々しく、長い髪で顔が覆われている2番。

 この中に面識のある人間はいないし、情報収集は大事。ということで、彼らに話しかけてみることにした。

 

「よろしくお願いします。レイって言います。」

「あっ、ご丁寧にありがとうございます。14番のイマムラと申します。」

 14番がぺこぺことお辞儀をしながら挨拶する。

「よろしく」

「あっ、えっと......アハハ」

 素っ気ない挨拶をしたのが16番で、緊張していたのか言葉に詰まっているのが2番だ。


「みなさんはなぜここへ?」

「私はハッカーをしていまして、ハッキングは得意なんですが......仲間に裏切られてしまいたして......」

「俺もだ。仲間に情報を売られちまったよ。」


 仲間からの裏切り2名。少なからず未練があるはずだ。この2人は利用できるかも知れない。

 ただ、もう1人は一向な喋ろうとせず。黙々と作業をしている。

 いずれ会話できればいいか。と思い一旦は置いておくことにした。


「2人は考えないんですか?......脱獄とか」

 踏み込んだ質問を投げかけた。この質問をすれば俺が脱獄を考えていることが悟られてしまうだろう。

 そのことがバレれば、看守に密告されたりなど、計画に支障を与える可能性があるが......この2人は脱獄を考えているかも知れない。

 一番いいのは仲間が増えること。

 情報源が増えれば増えるほど有利になるし、口裏を合わせることだってできる。

 最後には捨て駒にだってできる。


「あぁ、俺は脱獄するぞ、近いうちに」

 16番が表情一つ変えずに言う。

 口ぶり的にはもう脱獄の目処が立っている、そんなふうに聞こえる。

「え。なにか手掛かりを掴んでいるんですか?」

「いいことを教えてやろう。扉から廊下をのぞいてくれ、看守がいれば大問題だ。」

 刑務作業所には監視カメラのようなものはないが、扉の構造上外から中が見えるようになっている。

 壁もそこまで厚くはない。つまり、扉のすぐそばにいれば会話が聴かれている可能性がある。

 俺は扉から外を確認し、看守がいないことを告げる。


「この監獄がなぜ脱出不可能と言われているか。知っているか?」

「セキュリティーが強力......とかですか?」

「いーや。海の上を動き続けるからだ。周りが陸なら地下を掘るなり、柵を越えるなり方法があるだろう。が、ここは太平洋のど真ん中。外に出たところで逃げ道がない。」

 あくまでここは船の中。それなりの速度で移動し続けているのだから、飛び降りようものなら命に関わる。

 仮に死ななかったとしても、途方もない距離を泳ぐことになり、低体温症等で死んでしまうだろう。


「看守側はこの無謀な状況で脱獄などしないだろうと考えている。だから、この艦はセキュリティーが甘い。」

 思い返すと、金属探知機もなければ、監視カメラも少ない。

「外にでるだけなら簡単なんだよ。ここは。」

「でも、外に出たところで陸に辿り着けないんじゃ?」

「あぁ。無謀に飛び降りたら......そうなるだろうな。」

「無謀......に?」

「以前見たことがあるんだ、この艦の移動経路と目的地についての資料を。経路は3パターン。いずれも小さな有人島と近くを通る。そのタイミングさえ分かれば......ってとこだな。」

 意外にも可能性のありそうな計画に驚き、経路と目的地。かなり有益そうな情報を持っていることが判明したのは大きい。

 仲を深めれば、さらに情報を聞き出すことができるかもしれない。

 なんてことを感がていると、14番が恐る恐る話し始めた。


「あの〜。私、今回どの経路を通っているか、分かりますよ?」

「「!?!?!?!?」」

 16番と俺は目を見開いた。

「以前、この監獄の情報についてハッキングしたことがあって......この艦は今までに14回運航しています。そして、3つのルートを順番に通っています。なので......今回が特別なルート、

とかでない限りは、わかると思います。」 

「本当か!?それはいつだ!」

「えぇっと、多分4日後、ですかね。リゾン島という場所の近くを通過します。近くといっても15kmは離れていますが......」

「大丈夫だ!そのくらいなら気合いでいける!」

 いや気合いでも無理だろ。と思ったが、自信に満ちた彼を見るに、本当なのかと思い始める。

「私は体力がないのでこの手段は諦めていたのですが、お役に立てそうでなによりです。」

「14番さんは脱獄を考えているの?」

 俺が14番に問う。

「はい。なんらかの方法で、と考えています。」

「俺も脱獄を考えているんだ。できる限り協力するから、今度俺にも情報をくれないか?」

「えぇ。もちろんです。」

 これで協力者が1人。後は......

「16番さん。おれも協力するよ。」

「いいのか?ありがたい話だな。」

 これで2人。2番も口止めをしておくべきかと悩んだが、あの様子なら大丈夫だろう。

「あ、名前を言ってなかったな。16番ことユウヤだ。よろしく」

「よろしく。」「よろしくお願いします。」


 その後は夕食をとり、囚人房に戻る。ミヤビがいないので今日は1人......だか、今日得れた情報と仲間はかなり大きい。

 明日は自由時間。2人と会う約束もしたし、ミヤビを交えて作戦会議ができればいいな。


 

___囚人房1,2番


「2番さん......いやソーヤ。いい情報は掴めたか?」

 青髪の男が、2番へと話しかける。そんな2番は、悪そうな表情を浮かべてニヤリと微笑む。

「うん。もちろんだよ、XXXさん」


つづく


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