16話 疑惑
【囚人】
囚人番号4番 レイ・アレス
囚人番号5番 ミヤビ・エイレン
囚人番号6番 ヴァンス・ビルーズ
囚人番号2番 ソーヤ・ラーバン
囚人番号14番 リーバ・イマムラ
囚人番号16番 ユウヤ・スジミ
そうして、僕たちはいつもの牢屋に戻ってきた。部屋は本当に消毒作業が行われたようで、汚れ一つ無くなっていた。
なぜ、なぜこんなことになったのか。計画の段階では成功だったはず......そうか、そういえば当初はキッチンのダクトから脱獄するはずだった。なのに、前日に上のフロアへと移動させられた。
1番と2番の感染症......そのせいで、俺らは廊下の大窓からの脱獄を強いられた。というか、2番?2番って......"ソーヤ"。アイツの囚人服には2番と刻まれていたはず......
ということは、最初からバレていた?まぁ、イマムラさんにも昨日が1番陸地に近いという情報が回っていたくらいだ。そのことを知っていて前日に移動させたとも考えられるが......
録音機は、あの部屋だけじゃなかったのか?たしかに、ミーティングルームでは録音機がないか捜索したが......他の場所ではしていない。
僕らが脱獄の計画について話したのは、この部屋だけ......ということは。
この部屋のどこかに録音機がある?でもどこに?昨日までの部屋とは違い、牢屋には最低限の家具しか置いていない上に、全てが大変作りの簡単な質素なものになっている。
一体どこに......
キョロキョロと辺りを見回していると、レイが僕の訝しむような表情に気づいたのか、声をかけられた。
「ミヤビ......大丈夫か?」
「あ、あぁっ。大丈夫だよ?そっちこそ、大丈夫?」
「ああ。まあ、そうだな。ギリ、なんとか」
「そっか......」
録音機の件を話そうかと喉まで出かけて、言うのをやめた。もし本当に録音機があるのなら、この会話を聞かれるのも吉ではない。
「改めて、点呼及び日程確認を始める」
看守が牢エリアのドアをあけ、囚人達に呼びかける。
「4番、5番。今日は予定通り自由行動......と、言いたいところなのだが」
日程としては、昨日が刑務作業の日なので、今日は自由時間のはずだが。看守は僕を見て、こう告げた。
「5番。お前はたしか、特別作業囚人だったな。艦長がお呼びだ。場所はわかるだろうから、今日はそこに行け」
看守に、特別作業室へ行くよう促された。しかも艦長......つまりソーヤが呼んでいると。嫌な予感が頭から離れない。
「じゃあ、ミヤビは今日は一緒じゃないんだな?」
「そうだねぇ〜大丈夫?1人で」
「まぁ、イマムラさんと落ち合って......いろいろ喋ることにするは」
「そっか。なら心配ないね?」
レイは、ユウヤさんのことが相当ショックだったのだろう。いつもより、声のトーンが低い。
その後、牢の扉が解除され囚人達は各々行きたい場所へと向かう。
そんな中、僕は階段を登り特別作業室へと向かった。なにか脱獄の手掛かりがないかと、いつもより注意深く周りを見渡す。
ただ、階段は囚人も通る可能性があるとわかっているからだろう。何もない、一面コンクリートの壁だ。
そして、特別作業室こと、A倉庫の扉を開き、その奥にある重厚な扉を開く。すると、
「えっ?」
そこには筋肉質の大きな体、胸元には囚人番号6番と刻まれている。その男は、以前ミーティングルームで鉢合わせた、ヴァンス......という囚人だった。
つづく




