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砲撃の獄艦  作者: 樽宮銀
17/19

14話 許可証

【囚人】

囚人番号4番 レイ・アレス

囚人番号5番 ミヤビ・エイレン


囚人番号6番 ヴァンス・ビルーズ


囚人番号2番 ソーヤ・ラーバン 

囚人番号14番 リーバ・イマムラ 【脱獄済】

囚人番号16番 ユウヤ・スジミ



 その日は、夕方になっても警報が鳴り響いていた。看守達は捜索に人員をかけているのか、あのあと一度見回りにきただけでもう来ていない。

 それもそのはず、いままで鍵の無かったこの部屋にも、鍵がかけられたようだ。

 ユウヤさんが心配ではあるが、とりあえずはできることがない。

 僕たちがユウヤさんと密会していることは、看守全員にバレているのかは分からないが、少なくとも"アイツ"にはバレてるだろう。

 "あんな話"を持ちかけられたあとだ。僕たちは......いや、僕だけはなにがあっても罪を着せられることはないだろう。

「ユウヤさん......大丈夫かなあ」

 レイはこのセリフをもう20回は言っただろう。そうとう心配なのか、まあ今日は脱獄向きの天候とは言えない。

 あれからすぐ土砂降りになってしまっている。

「大丈夫だよ、ユウヤさんならきっと」

「そうかなあぁぁぁ」


コンコンッ


 部屋の扉がノックされると同時に、鍵が開錠される音が聞こえてくる。

「入るぞ」

 看守が今日の夕食を持ってきてくれていた。

「ありがとうございます」

 すかさず、看守の目を見る。この人は僕たちが密会していることを知っているのか......知っているならば、多少訝しんだ目をしているはずだ。

 のはずだが、見る限り疲れ切ってどんよりとした目、いや表情をしていた。

「お疲れなんですね?」

「ん?あぁっ......さっきも言ったが、1人脱獄してな。その捜索で看守エリアは大混雑......ッ」

 言いすぎた。と、言わんばかりに看守は自分の口を手で覆う。

「んん゛。まぁ、明日にはお前も元の場所に戻れる。明日はとりあえず自由時間だ。鍵はもう開けてある。食べ終わったら廊下に出せ」

 そう言って看守は去っていった。

「お〜!ミヤビ!!見ろよこれ!グラタン!俺大好きなんだよな〜」

「ん〜そうだねぇ〜」

 レイはグラタンにガツガツとかぶりつく。さっきまでのしんみりムードはどこにいったのやら......

 それより、さっきの言葉......看守エリアは大混雑。どういう捜索方法かは分からないが、外に出てボートで捜索している可能性が高い。

 部屋の小窓から見る限り、艦はずっと動いていない。

 なら、今が1番警備が手薄......しかも鍵はもう開錠されている。なら......

 そう言いながらご飯の入った容器の蓋を開けると、蓋の裏に折り畳まれた小さな紙が貼り付けられていた。

 とりあえず、レイに見られないようにそれを回収する。

「レイ、僕、トイレ行ってくるね?」

「んっ?おぉ、いっへらっひゃい」

 レイは口いっぱいに頬張りながらご飯を楽しんでいる。

 トイレに駆け込み、紙を開く。

【0:00 看守エリア階段横 A倉庫前】

 と、書かれていた。

 現在食事は看守達が準備している......はず。僕たちにコックの番が回ってこなかったから知らない、ってだけかも知れないけど。

 でもまぁ、看守エリア前に呼び出すのなのんて1人しかいないだろうねぇ......


0:00


 レイは眠ているし、消灯後点検をする看守の足音は過ぎ去った。

 普段なら、これ以降に点検されることはない。

 そっと扉を開けて颯爽と階段までの道を駆け抜ける。消灯時間故に廊下には灯り一つない。

 ユウヤさんが脱獄に使った大窓は未だ修復されておらず、前には三角コーンが数本置かれていた。

 看守と鉢合わせるとしたらここだと思っていたが、捜索に力を入れているのか、誰1人として姿はなかった。

 階段を登り倉庫の前の扉に立つ。すると、

「ッッッ」

 いきなり扉が開いたかと思えば、中から伸びてきた手に引かれて部屋の中に放り込まれてしまった。

「やあ」

 仰向けに倒れた僕を覗き込むように、ソーヤが僕を見下ろしていた。

 すぐに立ち上がり服の埃を落とす。

「僕が看守に見つかったらどうするつもりだったんだい?」

「ん〜。あー、看守くんたち?それなら全員外に出したよ?」

「は?」

「全員で彼の捜索、ねぇ手掛かり持ってるでしょ?どうせ」

「ふんっ。知らないね」

「そっか〜。で、この前の返事を聞かせてもらおうか」

 以前艦長室に呼ばれた時に提案されたミッション......というか作戦というか。今日はそれを聞くために呼ばれたわけか。

「......レイの安全も保証してくれるなら、いいよ?」

「ぁあー。レイくんね〜、まぁ君たちパートナーだし、そっか〜」

「不満か?」

「ん〜、ま、いいよ。しょうがないねぇ」

 そう言って彼は握手を求めてくる。当然、僕が手を取るはずもないけど

「じゃーこれ!あげるよ」

 渡されたのは【特別作業者用外出許可証】というものと、この倉庫に入るための鍵だった。

「この倉庫の奥には【特別刑務作業場】ってものがあるんだ。その許可証を首から下げておけば、何時でもここに立ち入れる。」

「僕に何をさせる気なんだい?」

「それは作業場に書いてあるから!大丈夫大丈夫〜」

 部屋の奥には、たしかに重厚そうな扉があった。

「じゃ!明日からよろしくね〜」

 そう言って僕の背中を押して部屋から出るように誘導された。



つづく

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