いきなりですか!?
「あいたたた……」
俺、どうなったんだ?
なんか、全身がメッチャ痛いんだけど……。
というか、駅のロータリーにいたよな?
何で、土の上に寝そべって――。
「――おらおらッ! まだまだ、こっからだ!」
「おぐッ!?」
痛い!
横腹に激しい衝撃を受けたと思ったら、全身が張り裂けそうな痛みに襲われる……!
というか、呼吸も厳しいぐらいに痛い。
目がチカチカする……。
「おいおい、コビー・ウルド。そのガキ、そろそろ死ぬんじゃねぇのか?」
「ハッ! 構わねぇよ。コイツらは、エルバー領民でもティルタニア王国の民でもねぇ。いくらでも湧いてくる難民どもだ。勝手に居着いてるんだから、文句なんか言わせねぇよ」
「まぁな。だが、モンスターが動き出したら、このボロい場所が魔法で燃えるだろうからな。狼煙や防波堤ぐらいには利用価値がある」
「まぁな。クソ上官に頭下げないといけねぇストレスは発散できた。よし、領都に帰って汚れでも落とすか! 汚いもんを蹴り飛ばして靴が汚れちまった」
勝手なことを言って去って行くのは――よく見る、ヨーロッパ風のゲームに出てくるような鎧だ。
何が起きたのか、全く分からないが……。
「……待て、よ」
何処かに力を入れる度に傷む身体を奮い立たせる。
目の前に落ちていた木の棒を拾って立ち上がると、コスプレ野郎が鬱陶しそうな顔を浮かべ振り返ってきた。
「何のつもりだ、ガキ?」
「……こっちのセリフだ、コスプレ野郎。なりきるのは大事だが、暴力に俺を巻き込むんじゃねぇよ。――俺、やられたらやり返すんだわ」
どこまで、この人生はクソゲーなのか。
同人誌即売会に行ったと思ったら、暴力事件で甚振られるとか。
誰がガキだ。煽る言葉にしても、俺はガキに見えねぇだろう。
お前ら、俺と同じぐらいの年齢だろうが!
「はっはっは! そんなに死にたいか! 良いだろう、剣で誰かを斬りたいと思ってたところなんだ!」
目の前の男――コビー・ウルドとか呼ばれてた男が、剣を抜く。
よく出来てるが、模造刀だろう。
本気で振り回したら、壊れるだろうに。
「おらぁあああああああああッ!」
「……ふん」
「グッ!?」
木の棒で殴りかかったのに――アッサリ受けられた。
蹴飛ばされて、また地面を転がる。
何だよ、丈夫な模造刀じゃねぇか。
それ、イベント会場に持ち込んでいいのかよ?
「突き刺すよりは袈裟斬りにしたい気分なんだよな。オラ、早く立てよガキ」
クソ……。
ここまでやる暴力とか、警察や警備員はこないのか?
せめて、ゲームの世界みたいに『重力魔法』をかけられたり、デバフで能力を落としたり……。
あるいは、俺が素早く強く動けるようにバフをかけられれば――。
「――な、んだと!? このガキ、魔法が使えるのか!?」