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 瑠奈が住まうことになった宮―瑠璃宮に訪れたのは、白麗だった。何か良いことがあったのか、いつもにも増してキラキラしていた。


 「おはよう!瑠奈ちゃん、心配そうにしてたけど、昨日、王との謁見うまく行って良かったね!俺も嬉しくて、昨日はぐっすり寝れたよ!そうだ、今日は、瑠奈ちゃんの身の回りの世話をする宮女を連れてきたんだ」


 白麗の後方に居た宮女2人が瑠奈の前に出て、それぞれ瑠奈に挨拶をする。


 「夏蓮と申します。宜しくお願いします」


 瑞光の謁見時に、身なりを整えるのを手伝ってくれた宮女だ。瑠奈よりも少し背が高く、黒めの茶髪を上の方でお団子にしている。切れ長の目をしていて、クール系美女だ。瑠奈よりも大人っぽい。


 「明明といいます!よろしくね!」


 初めて出会った明明は笑顔がとても可愛い。明るめの茶髪でボブスタイルだ。瑠奈と身長がほぼ一緒で、話しやすそうなタイプの子だ。


 「私は瑠奈っていいます。よろしくお願いします」

 

 瑠奈は2人にお辞儀した。瑠奈と同年代で雰囲気のいい子達で、瑠奈は安心した。 


 「私はここにあまり来れないから、瑠奈ちゃん、気になることがあったら2人を頼ってね」

 「えっ?白麗さん、来てくれないんですか?」

 「だってここ、瑠璃宮は所謂王の後宮だよ?男があんまり立ち入ったら駄目でしょ」


 後宮という言葉に瑠奈はギョッとする。後宮といえば、王の側妃が住む住居ではないか。


 「私が後宮に居ていいんですか……??」

 「平気!瑠奈ちゃんなら全然大丈夫だよ!!」


 白麗はお得意のウィンクを瑠奈にしてくる。大丈夫な理由が全く伝わってこない。


 「白麗さん、きちんと説明しないと。今の王には側妃も正妃もおられませんから、安心ですよ」


 白麗を呆れた目で見た夏蓮が、瑠奈に更に説明してくれる。それでも少し不安そうな表情を浮かべた瑠奈を見て、明明が会話に口を挟んだ。

 

 「瑠奈ちゃんは〚運命の番〛って知らないよね?うちら竜人には運命の番がいて、その人以外には興味ないの!だから変な人に襲われる必要はないよ!」

 「えっ、運命の番……?」


 瑠奈は明明の話にビックリした。〚運命の番〛がある世界だなんて、聞いていない。


 「『運命の番』はね〜、本能で好きになっちゃう相手かな??」

 「そうなんだ……。あの、どうやって運命の番って分かるの?」

 「運命の番かどうかってのは、竜人の男にしか分からないんだ。でも、竜人の男が運命の番に出会ったのは分かりやすいよ!運命の番に出会ったら、男は興奮してハァハァ言っちゃうみたい!」

 「えっ………?」

 「今まで会った男でハァハァしてた男いた?」


 瑠奈は異世界に来てからの事を思い返した。男性で出会った人といえば、瑞光、星輝、白麗ぐらいだ。3人とも瑠奈を見て興奮しているようには見えなかった。


 「特にいないかな?」

 「そっかぁ〜!だったら、今まで出会ってきた男は運命の番じゃないね!王様も興奮してなかったんだよね?それだったら、後宮に居ても安心だよ!」


 運命の番とか好きじゃなかったのに、自分が瑞光でも星輝でも運命の番じゃなかったのが、何故か悲しかった。

 瑠奈の顔が少し曇る。


 「瑠奈ちゃん?みんながみんな運命の番を見て、興奮する訳じゃないからね!!」

 「運命の番がいるなら、後宮なんて要らないんじゃないですか……??」


 急に焦って弁解してきた白麗は瑠奈の質問を聞いて、バツの悪そうな顔をする。

 

 「俺だち竜人……竜化できる人間のことを指すんだけど、竜人は運命の番を必ず得ることができる訳じゃない。でも、子孫を残さないといけないこともある。特に王だ。王は運命の番に会えない場合、今は後宮に竜人の女性を迎えいれることになってる」

 「そうなんですね……」

 「でも、今の王は正妃も側妃も1人もいないから安心して!運命の番に一途だから!!」

 「そっか……だから大丈夫なんですね。私は運命の番じゃないし、ただの人間だから、王に興味をもたれることはないと」


 瑠奈は白麗の説明を聞いて納得する。それならば後宮に居ても身の危険はなさそうだ。


 「あっ………いや、それは………」


 モゴモゴ言い出した白麗を横目に、夏蓮が瑠奈の側へ行った。


 「白麗さんはお仕事に忙しいでしょうから、帰っていただきましょう。瑠奈さん、私が瑠璃宮をご案内します」

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