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夏蓮が部屋から出たのを確認した瑠奈は、寝台からゆっくりと降りた。
(鋏は、どこ……………?)
痩せ細った瑠奈の体は、少しの距離で疲れを訴えてくる。息も上がってきて、ふらついてしまう。
刃物を探すが、部屋の中に見当たらない。
(責任を取りたいのに、何でないの………?)
瑠奈がすべきなのは、自死しかない。簡単に分かる答えなのに、なぜ今まで行動しなかったのだろうか。
(それなら、窓から飛び降りたらいいじゃない)
幸いにして、この部屋は3階にある。窓から飛び降りればすぐに目的を達することができるだろう。
瑠奈は解決策が分かって、嬉しくなった。
さっきまで重かった身体が、羽のように軽かった。
満面の笑みを浮かべた瑠奈は窓から身を乗り出す。
久しぶりに感じる風が心地よい。
瑠奈は目を閉じた。
(これで、全てが終わる)
瑠奈が地面に向かって、全身を傾けたその瞬間。
「……………っ!瑠奈さん何を………!!」
瑠奈の腰を星輝が抑えた。
身体が、あっという間に窓から離れていってしまう。瑠奈は後ろから星輝に抱きしめられていて、なぜ止めたのか文句を言おうと星輝の方を向いたら、必死の形相をしていた。
普段ポーカーフェイスなのに、そのギャップが瑠奈は可笑しくなってしまう。
「どうして、そんな表情をしてるの?」
「どうもこうも…………!何をしようとしてたんです!!」
「えっ?分かんないの?死のうと、してたんだよ?」
瑠奈はこの場に相応しくないくらいに綺麗に笑った。
「瑠奈さん……………!!駄目、駄目、死んだら駄目です………!!」
「どうして?白麗さんは殺したくせに、私はなんで死んだら駄目なの?」
「僕が、嫌だからです………!!白麗のことを悔やんで死のうとされてるなら、僕が死ねば、落ち着きますか?」
思いがけない言葉に、瑠奈の心が凍った。
瑠奈のせいで、今度は、星輝が。
「そんな……!そんなこと、私、求めてない……!」
「同じことです。瑠奈さんがいなくなれば、僕も、兄様も死にます。今度は永遠に」
固まった瑠奈を星輝が包み込むように抱きしめた。
瑠奈は呆然としてしまって、言葉が出ない。
「………………瑠奈っ!!」
騒がしい足音と共に、瑞光が現れた。
久しぶりに会う瑞光は、瑠奈の姿を見て心底ほっとしたような表情を浮かべた。
肩で息をしていて、焦ってここまできたことが分かる。
「夏蓮に呼び出されて、瑠奈の様子がおかしいと聞いたんだ……良かった、無事で……」
「兄様、瑠奈さんは危うく命を失うところでした……。僕は、瑠奈さんにきちんと説明したほうがいいと思います。どうして、僕達が瑠奈さんを運命の番と最初から告げなかったのか」




