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異世界に転生しましたが、運命の番が2人いました  作者: 佐藤かなめ
第五章 彼は3人目の運命の番
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3

 瑠奈は白麗を『運命の番と認識してる』と伝えて良かったと思った。


 異世界に戻ってきてから、1か月が経過したけど、ほぼ平穏な生活を過ごせている。


 ―――瑞光と星輝のいる部屋から出られないということを除いて。


 お風呂もトイレもついているから、生活には不便がないのだけれど、いい加減、息が詰まってくる。


 瑠奈は仕事として課されている瑞光の様子を観察しながら、溜息をついた。


 (この世界に戻ってきた初日に比べたら、血色が良くなってきた気がするんだけどな。いつになったら目を覚ましてくれるんだろう)


 瑞光の横髪を撫でてみた。10年間眠ったままで、食事もとっていないらしいけれど、艶々として触り心地がいい。


 (星輝さんも起きてくれたらいいんだけど)


 星輝のほっぺたをツンツン触ってみる。冷たいのに柔らかかった。もちろん、反応はない。


 「げ………限界だ!!!」

 「どうしたの?」


 書類仕事に格闘していた白麗が机の上に倒れ込んだ。瑠奈をうるうるとした瞳で見てくる。


 「俺、書類仕事苦手なのに………。瑠奈、俺を癒して?」

 「はいはい。白麗はよく頑張ってる」


 瑠奈は白麗のそばに寄って彼の髪を撫でてあげた。

 白麗は穏やかな笑顔を浮かべている。


 (瑞光さんと星輝さんの体調管理に加えて、書類仕事の量も多い。白麗さん、大変だろうな)


 瑠奈が白麗の仕事を助けてあげれれば良いのだろうけれど、瑠奈はこの世界の言葉は喋れるものの、文字は分からかった。


 「何も手伝えなくて、ごめんなさい……」

 「いいんだよ、瑠奈が側にいてくれるだけで俺は幸せだから」


 白麗は綺麗な顔を綻ばせて微笑んだ。

 あまりにも嬉しそうで、その本心が分からない。


 おままごとみたいな『運命の番』ごっこ。


 瑠奈が白麗の運命の番でないことは白麗も分かってるのに、何故付き合ってくれるんだろう。


 瑠奈はその答えが分からなかった。


 「このまま過ごしていたいんだけど………、瑠奈、夕方に来客がある」

 「………来客?」

 「この国の王代行が、瑠奈に会いたいって言ってる。王代行は……つまり、前国王だけど」


 白麗の発言に瑠奈の表情が固まってしまって、白麗は慌てて言葉を繋げた。


 「瑠奈が戻ってきてから、面会を求めてきていたんだけど、止めてた。瑞光王が目覚める前に、王の番に会うのは良くないって言って。瑠奈も記憶喪失だし……。でも、もうこっちに戻ってきて1か月でしょ?瑠奈と話してみたいらしい」

 「………そっか、そうだよね」


 白麗の言うことも分かるけれど、この国の人にとったら、瑠奈は王を倒れさせた元凶だ。恨まれているだろう。正直、会いたくない。


 瑠奈は表情が暗くなった。


 「瑠奈、不安に思わないで………?俺も側にいるから。でも、俺以外の人に、俺が瑠奈の運命の番って言わないで。状況が悪くなるかもだから」

 「………うん、分かった」


 顔をこわばらす瑠奈を、白麗は包み込むように抱きしめた。











 「そんなに堅苦しくしなくていい。前国王、瑞苑である。瑞光の番、よく戻られた」


 深いお辞儀から顔を上げて、瑠奈は瑠璃宮の応接室に来た男性を見た。瑞光によく似ている。


 「瑞光様の番の、瑠奈と申します……御挨拶が遅くなり、申し訳ありません」

 「いや、構わない。そこの白麗からも君の体調が良くないと聞いていたから」

 「………お気遣い、痛み入ります」


 威厳のある風貌ながら、優しい声色で瑠奈はほっとした。このまま面会がうまくいくかもしれないと瑠奈が思った時、瑞苑の後から女性が出てきた。


 「瑠奈さん?わたくし、マリーナといいますの。瑠奈さんにお会いしたくて、無理を言って着いてきてしまいました。瑠奈さんは記憶がないから、お分かりでないかもしれませんけど、わたしたち仲良しでしたのよ?」


 あれから少し大人びた容姿になったマリーナは、瑠奈に向かって含み笑いをした。

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