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「君は瑠奈という名で、別の世界にいたんだ。そこに寝てる男達がいるだろ?彼らが、瑠奈の運命の番でもあって、命を賭して瑠奈を元の世界へ還らせたんだ。死にかけの彼らを見捨てることができなくて、瑠奈は俺たちの世界にまた戻ってきた、ってこと」
白麗は口元に笑みを浮かばせながら、瑠奈にこれまでのことを教えてくれる。瑠奈はまだ白麗の腕の中に抱きしめられたままだ。
「俺も運命の番だったんだけど、言い出せなかったんだ。瑠奈の番にはこの国の王もいたから」
「そう、なんだ………」
運命の番じゃないはずなのに、瑠奈のことをそう表現する白麗。それが本当なのかどうなのか分からない。瑠奈は自分から騙そうと決めたのに、混乱してしまう。
でも、瑞光と星輝が目を覚ますまでは、『記憶喪失だけど白麗のことを運命の番と認識している瑠奈』を演じたほうがいい。
「待って!私、まだ貴方の名前教えてもらってない!」
「可愛い人、俺の名前は白麗だよ」
「白麗さん?白麗って呼んでもいい?」
「当たり前」
白麗は柔らかな笑顔を浮かべて、瑠奈の頭頂部に軽くキスをした。雰囲気が、甘い。思えば白麗は『瑠奈ちゃん』と今まで呼んでいたのに、『瑠奈』と呼んでくる。
運命の番だと、こんなに態度が違うんだ。
瑠奈は白麗の胸の中で溜息をついた。
「瑠奈?どうしたの?」
「ううん!なんでもないの!ただ……」
「ただ、なに?」
「私の運命の番は……白麗だけだから、ここから出て、貴方の家で暮らしたい」
白麗は瑠奈をギュッと抱きしめて、瑠奈の頬に顔を寄せた。
「俺も瑠奈をここから連れ出したいけど、王を起こさないと、無理かな。だから、俺に協力して?」
「……………………うん、分かった」
白麗の運命の番であろうとなかろうと瑠奈がやるべきことは変わらないらしい。でも、何を?
「瑠奈にはこの部屋の中で生活して欲しいんだ。この部屋の中が一番安全だから」
「いやだけど、白麗が言うなら、そうする」
軟禁生活を告げられて頬を膨らます瑠奈を、白麗が柔らかな笑みを浮かべて髪を撫でた。白麗が向けてくる瞳は本当に優しい。
瑠奈は思わず、勘違いしてしまいそうになる。
白麗に愛されてるんじゃないかって。
だから、全てを委ねてしまいたくなる。
異世界に来てから、辛いことが多すぎた。
何もかも全部受け止めてほしい。
楽になりたい。
誰かに縋りたい。
そう思ってしまって、瑠奈は白麗の身体に顔を埋めた。




