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瑠奈は白麗に言われるがままに、瑞光の唇に手を差し入れた。口の中なのに、冷たかった。
瑞光の唇の奥に瑠奈の血が滴っていく。
瑠奈は祈るような気持ちで瑞光の様子を見守った。
でも、瑞光の瞳は閉じられたままだった。
「番の血で駄目なら、俺は、俺は何をしたらいい……?」
白麗は壁を背に崩れ落ちた。
両手を顔を覆って、声にならない声で漏らした。
瑠奈が元の世界から戻ってくれば、直ぐに瑞光と星輝が覚ますと思っていた。瑠奈が戻ってくれば、なんとかなる。そう信じていたのに。
瑠奈がもたらしたのは、ただの絶望だった。
番なんて、なんの意味がない。
「悪いけど、出ていってくれ!何も頼むことはないから!!」
白麗は悲痛な声を上げた。
「君は、王と星輝のことなんてどうでも良かったんだろ?いいよ!ここにいなくて!!」
瑠奈を見上げた白麗の瞳から、涙が浮かんで頬をつたった。
「番様…………!?どうされたので…………!?」
ドアが開かれて出てきたのは、王の番の瑠奈のみで、劉澤は目を見張った。
部屋の中に入るまでは、まだ元気があったのに、出てきた瑠奈はまるで別人のようだった。
頰には血がついていて、瞳は虚ろだ。劉澤と視線を合わせようともしない。
「白麗様は……?」
瑠奈はただ横に首を振って、歩き出した。
王の番様を、1人にさせてはならない。
「どこに行かれようとしているんですか……!?」
劉然の言葉に、瑠奈はまた反応を示さない。
焦った劉然は瑠奈の腕を掴んでしまった。
ようやく目線があったかと思うと、――瑠奈は倒れた。




