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6

 瑠奈はお行儀が悪いと思いながらも、寝台の上に寝転がって枕の上に顔を埋めた。


 (星輝さん、マリーナ王女と抱き合ってた……)


 瑠奈も抱きしめてきたし、星輝は真面目そうに見えて多情なタイプなのかもしれない。


 別に付き合ってた訳じゃないけど、裏切られた気がした。


 それに比べて、瑞光は……。瑠奈に真っ直ぐに愛を伝えてくれたし、瑠奈のことを思ってくれていた。


 瑞光のことが気にならない訳では無い。

 でも、瑠奈は元の世界に還る気持ちに揺るぎはなかった。


 (ここの世界の人とは、恋愛なんてできない)


 一人になるといろいろ考えてしまった瑠奈は部屋の窓に近づく。ちょうど満月の夜で、大きめな鳥のようなものが夜空を飛んでいるのが良く見えた。キラキラと輝くそれは、瑠奈の心を癒してくれた。


 (初めてこの世界に来た時に見た鳥に似てる)


 夜空に羽ばたく鳥。この景色はこの国独特のものかもしれない。瑠奈はこの光景を覚えておこうと思って、じっと眺めた。



 





 マリーナの帰国の日になった。

 いつものように、瑞光と星輝がマリーナを見送りに出た。


 星輝はどんよりとしていて、精気がない。

 王女の見送りなのにこの世の終わりみたいな表情を浮かべている。瑠奈に誤解されて辛いのだろう。


 (早く瑠奈さんに好きって言えばいいのに)


 瑠奈はきっと星輝のことが好きだ。

 マリーナと星輝が抱き合っていた時、狼狽してたから間違いない。


 マリーナは星輝が行動しない理由がよく分からなかった。




 瑞光は今日もカッコいい。朝日に照らされて神々しい。今回の訪問では瑞光の気持ちを得ることが出来なかったが、次回こそは必ず。少しずつ撒いた種が実になればいい。マリーナは強かに思う。


 「瑞光様、少しは嫉妬してくださいました?」

 「何のことか分かりかねます」


 瑞光はアルカテック・スマイルでつれない。瑞光の隣にいる星輝も無表情だ。この兄弟は、外交という言葉を知っているのだろうか。


 「もう……!つれないこと!!」

 「マリーナ王女、それではまた」


 瑞光がマリーナに向かって手を差し伸べてきた。そんなことをしてきたのは初めてで、マリーナ王女は少し動揺しながらも、瑞光の手に自身の手を添える。 


 王女であるマリーナよりも瑞光の手は滑らかで、熱を持っていた。瑞光の大きな手がマリーナの手を包む。恋する相手の握手に、マリーナの胸が否が応でも高鳴ってしまう。


 そんなマリーナを瑞光の瞳が冷静にじっと見つめてくる。瑞光の黄金色の瞳が何か告げてくるようだ。


 (見つめられるだけでは気持ちは伝わりませんわよ……!)


 マリーナはどんどん赤面してしまう。瑞光の手から、マリーナ全体に熱が移ってしまったようだ。


 「マリーナ王女」


 瑞光がよく通る低い声でマリーナの名前を口にした。


 「我々はあなたに期待している。この国の行方は貴女にかかっている」


 マリーナは瑞光の強い口調に声が出ない。瑞光は王としてマリーナに伝えているのだ。


 「わ……分かりましたわ……」


 何度も瑞光に会っているのに、こんなことを言われたのは初めてだ。瑞光に何かあったのだろうか。でも問いただすのは差し控えられて、マリーナはただ頷くことしかできなかった。


 







 マリーナが帰国して、父王から告げられたのは衝撃の一言だった。


  「マリーナ、瑞光王が………倒れられた……!!!」

 

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