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瑞光はマリーナと星輝が退出した後、2人っきりで話したいことがあると言って人払いをした。
何を言われるのか予想ができず緊張してしまう瑠奈に、瑞光は思いがけない一言をかけた。
「………もしかして、瑠奈は星輝のことが好き?」
「えっ………!そんなことないです!!」
「星輝がマリーナ王女にプレゼントをあげてたって聞いて悲しそうな顔をしてなかった?」
瑞光に言われて、瑠奈はどきっとした。
確かにショックを感じてしまったけれど、それは恋愛感情とかじゃなくて、そう、ただ寂しく思ってしまったからと瑠奈は自分の気持ちを結論づけた。
「違うんです!初めて会ったときから親しくしてくれてたから、ちょっと寂しくなっちゃって……」
「そっかぁ………良かった………!」
急に仲良くなったようにみえる星輝とマリーナの関係性が兄として気になったけれど、それよりもただ、悲しそうな表情をした瑠奈の事が瑞光は気になって気になって仕方がなかった。
瑠奈の言葉に安心したけれど、瑠奈は星輝に心を傾けているのが分かる。このままだと、星輝に瑠奈を取られてしまうかもしれない。その思いが、瑞光を焦らせた。
「このタイミングで、言うの良くないと分かってるけど………」
緊張で、心臓がドキドキする。手も震えてきた。
でも、どうしても言いたい。
心を決めて、瑞光は瑠奈を見つめた。
「私は、瑠奈のことが好きなんだ」
「えっ…………………!?」
瑞光から言われたのは、想定もしていない言葉だった。瑠奈は優しくしてくれる瑞光のことが嫌いではないが、好きかと言われると言葉に詰まる。
もしかしたら瑞光に気に入られてるかもとは思っていたが、好意を告げられるほどとは思っていなかった。
瑞光は一国の王でもある。そんな瑞光から好意をよせられた、これはどういう意味を持つのだろう。
瑠奈は動揺して、固まってしまった。
そんな瑠奈を見て、瑞光は不安そうな表示を浮かべた。
「急にこんなこと言ってごめんね……。まだ、出会ってあんまりたってないのに……」
「いえ…………!!あの、確認なんですけど、私は瑞光さんの運命の番ではないんですよね?」
「…………………………………………うん」
ここで運命の番だよと言えたらいいのに、と思いながら瑞光は違うと答えた。
「運命の番ではないのに、好きになるってあるんですか?」
「それはね、あるよ。運命の番じゃないのに、好きになっちゃ駄目だった?自分でも、こんなに急に人のことを好きになるなんて、思ってもみなかった……。瑠奈が驚くだろうから、言うつもりもなかったのに……」
瑞光は酷く悲しそうな目をしてくるから、瑠奈はなんて言ったらいいか分からなかった。
「あっ、返事が欲しいわけではなくって、どう思っているか伝えたくなってしまっただけだから気にしないで……!それと、私は瑠奈が元の世界へ戻ることを止めたりしないから安心して」
瑞光は告白の返事を求めることもなく、瑠奈の気持ちを最優先してくれる。瑠奈にとって、瑞光はどこまでも優しい人だった。
瑞光の犠牲の元に優しさが成り立っているなんて、瑠奈は気付くこともできなかった。
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