表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/26

2

 初めての宮中の外は瑠奈の想像以上に賑やかだった。人がごった返し活気を感じる。


 初夏の爽やかな風が瑠奈の髪を揺らした。


 室内で悶々と悩むよりも良かったかもしれない。

 白麗のお陰で、明明と夏蓮と外出することができて、瑠奈の気持ちは浮き立つ。


 先導する夏蓮について歩くのだが、瑠奈は街並みが物珍しくてつい周りをキョロキョロしてしまう。


 「何のお店が見たいとかある?」


 隣を歩いていた明明が瑠奈に気を使ってくれた。


 瑠奈はいずれ元の世界へ戻る身だ。持って帰れるか分からないけれど、この世界の思い出として何か欲しかった。代金はきっと後ろにいる白麗が何とかしてくれるだろう。


 「アクセサリーのお店とかないかな?」

 「あるよ!特におすすめのお店があるから案内するね?」


 明明は瑠奈に優しく微笑んだ。









 明明がお勧めしてくれたアクセサリー店は店内も可愛くて、瑠奈はワクワクしてきた。


 店内からはほのかに甘い香りがしてくる。


 奥の方へ行くと、店員にネックレスのようなものを見せてもらっている男女がいた。女性の着ている鮮やかなドレスに目が惹かれる。その側には侍女のような女性と護衛のような男性が2人を見守っていた。


 「あれ!星輝がいるじゃん」

 「ん?隣にいるのはマリーナ王女だね!2人で買い物に来てたんだ!」


 白麗と明明の言葉で、ネックレスを見せてもらっている男女がマリーナと星輝であることに瑠奈も気が付く。2人とも美男美女でお似合いに見えた。


 星輝がマリーナにネックレスを指差したが、マリーナは気に入らないのか首を振った。

 星輝が残念そうな表情になって、マリーナは柔らかく笑った。星輝もマリーナも自然体で、本当に楽しそうに過ごしているのが端から見ていても分かる。


 まるで、2人だけの世界だった。


 瑠奈は星輝のことがますます分からなくなった。瑠奈に抱きしめてきたり瑠奈が元の世界に帰るのを嫌がるくせに、マリーナと仲良く買い物をしている。


 知らなかっただけで、マリーナと星輝は仲が良かったのか。それとも、星輝はいろんな女性に手を出すタイプなのか。考えても、よく分からない。


 瑠奈はなんだか落ち着かず、2人を凝視してしまう。


 瑠奈達の視線に気がついたのか、マリーナは瑠奈の方を見て、口元を歪めて笑った。


 マリーナは、星輝の二の腕を触り、少し背伸びをして星輝に耳打ちする。何を言われたのか、星輝は色白の肌を赤く染めた。


 「なんだかラブラブだね?星輝が顔を赤くするなんて」

 「確かにね〜!星輝さんにも春がきたねぇ」


 白麗と明明は2人の仲を応援しているみたいで、瑠奈はこれ以上この店に居るのが辛くなってきた。


 退店すると白麗に告げて、瑠奈は逃げ出すようにお店から出た。


 そんな瑠奈をマリーナ王女は嬉しそうに見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ