01.一応初対面ですよね。
ここは人間と吸血鬼が共存する世界。
現代社会とはあまり変わりないように見えるが、吸血鬼と人間の関わりは深く根付いている。
吸血鬼は人間の血を求め、貪る。そのため特定の人間と契約を結び、人間が契約者になる。契約には男女で結ぶことがほとんどだが、同性同士でも結ぶことも頻繁にあるらしい____________
大学の研究帰り、僕はスーパーで買ったスープをカイロ替わりに持ちとぼとぼと歩いていた。
「...」
なんでよりにもよって雨なんだ...おかしくない、?
今日は研究資料を持ってるのに。。
まぁ一応傘あるけどさぁ。
すると前方から黒いコートを着た長身の影が見えた。深くフードを被っているためよく分からないが、圧迫感を感じる。
「...」
こんな夜に雨が降るなんて災難だよな、と小さく同情の念が浮かんだが今は自分の研究資料が大事のため、急いで家に帰るとする。僕は人影を横切ろうとした
「ごめんなさい、お兄さん、少しいいかな?」
「あぇ...」
突然人影に声をかけられ変な声が漏れてしまった。
そんなことより、低く圧のある、でも安心感を感じる声に驚いた。
「...ふはっ笑、ごめんね驚かせて」
人影は僕に近寄る。黒いコートから白く細い手が伸びてきて、僕の頬を撫でた。思わず言葉を失い身震いがする。誰なんだ、てか、なんで...?
「...っ、」
「怖がらないで、もし良かったら、君の傘に入りたいんだけど」
...え、どゆこと?
何どゆこと???僕の傘?入るの?急に?
頭が疑問符で埋め尽くされながら、僕は必死に言葉を探す。
「...行き先は、?」
「うーん、君の家とか...笑」
新手のナンパか何かか?なんで僕の家?なんで?
さらに疑問符が僕の頭の周りを飛び交っている。しかも未だに謎の男性、? は僕の頬を撫でていた
「...怖がってちゃ契約できないか...」
謎を深めるばかりだ。あぁ、スープが冷めちゃう。資料が濡れる。どうする、どうする僕。
「...」
謎の男性は僕の傘を優しく手に取ると、僕の背中を反対の手で押しながら進んだ。こう見えて、僕はコミュ障だ。だから心の独り言が多いのか。まぁそんなことはどうでもいい。
「いつもあのアパートに住んでたよね、荷物持つよ」
「...っ」
まだ謎の男性の顔は確認できていない。深く濃い影に顔は隠れている。その前に、僕はちびりそうだ。
そんなことはお構い無しにゆっくりと歩を進め、アパートの前に着いてしまった。
「あの...なんでここが...」
「ん〜?」
笑うばかりで答えてくれない。玄関の前で謎に解散するつもりが、気づけば家にあげていた。何やってんだ僕!!まだ研究レポートぐっちゃぐちゃのままだろ何人を家にあげてんだ。
「...コーヒーとか、?」
「あぁいや、大丈夫だよ、お気遣いありがとう」
そしてこの人いちいち余裕ぶっこいた口調で喋ってくる。どうした。色々と。
「...」
「...」
部屋の中は雨の音のみこだまする。
しばらく会話の内容を探していると、謎の人から口を開いた。
「あのさ、柊もあくん」
「...はぃ、?」
謎の人は暗く隠されていた顔を見せるようにフードを外す。そこには黒髪で、人とは思わせないほど鋭利な紅い目をした顔が見えた。そう、僕が知らず家に迎えたのは吸血鬼だった。大学で吸血鬼専攻科を選択している僕にとって、いい機会を得られるとポジティブに考えられたが、現実はそうもいかなかった。彼は微笑み、僕に手をかざす。すると黒いもやが僕の周りを囲み急に手首が彼の方に引っ張られた。
「...っ、なんで...」
「なんで...か、まぁそうだね、困惑するのも無理は無い」
吸血鬼を家に入れた恐怖と少しの好奇心が入り混ざる。
「もあくん、僕と契約しないかい?」
「...え゛」
これからめんどくさいことが起こりそうな。
初めまして、ヲノハです。この度は見て頂きありがとうございますわっしょい。
転生ネタや異世界ネタは頭が足らんので断念いたしましたわっしょい。
ソフトめな腐要素ありますわっしょい。
感想くれたらわっしょいします。