配役
桃蓮です。台本内容を勝手に決めましたがご了承ください。(^^;
では、"さあ、花道に立ちましょう"お楽しみください。
ここで、台本のあらすじを説明しよう。
舞台は暗い部屋。主人公、藤中は、目が覚めたら知らない者達と閉じ込められていた。何処までも軽いノリの黒崎。冷静に皆をまとめようとする山岡。パニックに陥ってあたふたしている川神。とりあえず自己紹介でもしようか、と藤中が言い、こんなになるまでの経路を話し始める四人。だが、いつまでたっても誰も来ないし居る気配がない。不審に思った藤中が部屋を歩き回り、ふと、階段を見ると、そこには赤く"呪ってやる"の文字。そこからぎくしゃくし始めた四人に追い打ちをかけるように、此処に来る条件が揃っていた。条件とは、"桜田中学校"と関わっている事、そして、いじめられて死んでしまった少女と関わっていると言う事。山岡はその少女をクラス担任だった。川神は少女を裏切っていじめた張本人にくらがえった。そう、藤中がその少女の姉であり、黒崎はその少女の他校の彼氏だったのだ。少女はいじめた張本人たちはすでに殺してしまった藤中と黒崎は、彼らに罪をかぶせて殺すつもりだったのだ。結局藤中と黒崎は川神と山岡を殺し
、その場を去って行ってしまった―――……。
「で?」
図書室でコピーしそれぞれの手元に渡った台本を片手に、夕輝が皆に問う。
「で……って?」
その問いの意味が理解できず、顔を上げる汀に、夕輝が言った。
「配役と裏方だよ」
よっこいしょ、と立ち上がり夕輝は皆の居る机に歩み寄った。
「オーディションか?」
「時間がねェ。立候補で」
それに答えたのは裕太だ。夕輝がそれで良いか問うように皆に目配せした。異論がある者はいないらしい。皆静かに頷いていた。
「よし、異論はねェな。じゃあまず音響!」
と言いつつ音響は決まっているようなもので、皆影の方を向いていた。案の定、手を挙げたのは影である。彼は音楽的センスに優れており、それで台本を手掛ける事が出来る。
「音響、影な」
「アイアイサー」
そうしてにっこり笑う彼を可愛いと思ったのは汀だけではないだろう。
「次、証明」
夕輝がルーズリーフに綺麗なコンピュータのような字で記録していく(札の字を書いたのも夕輝である)。と、恵介がおずおずと手を挙げた。
「証明、恵介……っと」
「出来んのかお前に?」
「大丈夫、俺は出来る、成せばなる。きっと出来る」
「暗示をかけるな、心配になる!」
そうつっこまれつつ、恵介は結構手先が器用だ。センスも並にはある。確かに適任と言えば適任である。
「で、……まず配役を確認。藤中 女、黒崎 男、山岡 男、川神 女」
「部長、女二人いるけど?」
にやりと裕太が笑う。その笑みに顔を引きつらせ、夕輝は舌打ちをして言った。
「女は……俺がやる!」
おぉぉおー、と歓声が上がる周囲に夕輝は顔を真っ赤になって黙れと言い募った。
「じゃあ藤中! 立候補!」
夕輝が叫ぶように言う。シンとした部室で、汀が手を挙げた。それを見た皆は仰天したようにうめき声やらをあげた。
「えええええぇぇぇぇぇ!?」
「え、あってない……かな?」
「違くて! ゆ、夕輝が川神!」
あははははは、とバカ笑いする裕太を夕輝は思いっきりとび蹴りした。吹っ飛んだ裕太にすっきりしたのか、夕輝はシャーペンをカチカチと押すと、またルーズリーフに書き始めた。
「藤中が汀、川神が俺、な……。よし。じゃあ黒崎!」
夕輝がさわやかに言い放って見せた。そこは時雨が手を挙げる。
「えー時雨ー?」
恵介が露骨に嫌な顔をして言った。実にムカつく顔だ。
「俺が山岡の方が変だろ……」
「確かに」
夕輝は妙に納得し、"黒崎→時雨、山岡→裕太"と書いた。
「俺山岡かよ……」
「言いじゃん眼鏡鬼畜」
ぽん、と恵介がいたずらっぽく笑いながら裕太の肩に手を置いた。
「じゃ、読み合わせから行こうか」
汀が座り直して笑って見せた。
次は逆さまの蝶様です。




