表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

王立魔法学園 前編

 入学試験に無事受かり、代表者挨拶も書き終えた。そして、今日はいよいよ入寮日だ。原則入学式、又は始業式の1週間前から入寮することが可能。との事で、早速1週間前から寮へ行く。

 メイドたちはせわしなく荷造りを進めている。

 寮へ連れて行けるメイドは最大5人迄だが、私は最小人数の2人だけだ。最少と言うと1人と思われがちだが、其れだといざという時コルセットもドレスも着れない。其れは流石に困るので、2人連れて行く。

 割り当てられた部屋は、寝室,ダイニング,浴室(広め),そしてドレスルームのある、1人の生徒に割り当てる部屋とは思えない部屋だった。これも、私が高位貴族の令嬢だからなのだろう。

 全寮制の此の学園は、戦闘魔法専攻か、透視や治癒などの非戦闘魔法専攻かによって2つの寮に分かれる。更に、女子棟と男子棟に分かれる。戦闘魔法専攻の生徒が非戦闘魔法の生徒を攻撃しない様にする為だとか。

 でも、授業では普通に戦闘魔法も非戦闘魔法も習う。専攻とは口先だけなのかと言いたくなってしまう。

 因みに私は非戦闘魔法専攻だ。

 朝の9時から入寮が出来るとの事で、9時から入って荷解きをしていたのだが、大抵の生徒が13~15時の昼過ぎ、しかも入学式の2日程前に到着していた。

  ◆◇◆

 入学式の始まる2刻前から起きてしまったが、本当はもう半刻は寝れる。まぁ、今迄の習慣の問題(せい)だ。

 寮での食事は、全員漏れなく1階の食堂でなのだが、開くのは1刻後なのだ。起きてしまったものは仕様が無い、先に準備してしまおう。浴槽に薔薇バラを浮かべ、香りが出たところで入る。これが1番香りが出て、つキツくないから好きな香水の付け方だ。

 入学式という立派な式典だし、久しぶりにめかし込んでみようかな。私には婚約者がいないから誰かの為にめかし込むなんて伯母様でのサロンくらいしかない。

 薄くメイクをして...其の後は読書でもして時間を潰そうと思う。

 8時になり、鐘が鳴ると廊下からドアの勢い良く開く音があちこちからした。其れと同時に、沢山の人の走る音も聞こえた。コルセットを付けずに生活するのは幼少期以来だろうから久しぶりで開放感が有るのは認めよう。だが久しぶりの感覚に感動してマナーがおろそかになるのは頂けない。後から寮母さんに怒られそうだ。

 人も多そうだし、入学式は9時からなので、其の15~10分前に着けばいいと思い、私は20分に行った。鐘と同時間に来た人が大半だったお陰で、私が行った時には殆どの人が部屋へ帰って行っていた。

 特別、空腹という訳ではないから、軽くフルーツサンドを頼んだ。雪の様な生クリームに包まれた鮮やかな様々な果実が、寮自家製の柔らかなパンの上で踊っていた。

  ◆◇◆

 入学試験の結果でクラス分けがされるが、私はいう迄もなくトップなので、上位15名だけで構成されるクラス。通称『特進クラス』だった。

 「席はご自由に」との張り紙があり、既存の生徒もまばらな位置に皆座っている。

 運よく窓際の後方席が空いており、私はもう既に良い1年が始まったと感じた。

 毎年、クラスメイトと教室の位置が変わるらしく、部屋のサイズは他クラスと何ら変わらぬサイズだ。他のクラスでも1クラス20~30人と其処迄人数は多くない。

 1学年が2~3クラスで構成されている此の学園だが、多いときは入学者が80人を超え、少ないときは70人にも満たなかったとか。此の学園の入試問題は難しいのは当たり前だが、前年度の受験者の成績をかんがみて問題が1から作り直される為、学習範囲を絞りずらいのだ。今年の入試通過者は例年より少なく、69人と聞いている。合格しても、家の都合、個人の都合で入学を辞退する者もいる。だが、其のたびに下から繰上げ合格をさせることは無い。何故なら、入試の合格条件は総合スコア7割越えというものだからだ。合格ラインを越えられなかった時点で、学園側は「入学する資格無し」と判断するということだ。

 教卓の上に置かれた数冊の教本を取り、席に戻る。ファーストネームだけサインし、次々と机に仕舞う。

 5分程前に担当と思しき講師の方が入ってきて、式典用の講堂へ移動する旨を伝えられた。

 入学式といいながらも、親も参加が許されない。内容も至って簡単で、理事長と校長の挨拶の後、新入生代表が挨拶をする。そして、全員に学園内での唯一の身分証明が可能な『学生証』を校長より手渡される。

 感想としては、校長と私の挨拶が、別視点から同じ様な事を言っていて少し恥ずかしかった。


 教室に戻ると、先の式で貰った学生証の説明がされた。此れは、生徒個人の様々な情報を保存しているらしい。テストの成績、各授業の取得単位数...etc、兎に角個人情報のかたまりだから無くすなとの事だ。。

 次に、此の学園の様々な制度が説明された。

 最初に説明されたのは「此の学園には、入寮した瞬間から卒業迄、一切の外出も認めない」という事だ。ただし、年3回の長期休暇中は、先に申請を出しておけば2週間程は帰省も可能らしい。

 けれど、態々(わざわざ)学園の外に出なくても、学園内の購買と4月(よつき)に1度、購買では売っていない嗜好品しこうひん等を街の店が学園に来て販売してくれるらしく、其れで大体皆満足するのだとか。

 学園内では基本現金かゴールド,プラチナカードしか使えないのだという。そして、現金の場合の話だが、手紙と一緒にお金を送って貰えともおっしゃっていた。

 また、ゴールド,又はプラチナカードは自分の銀行口座と繋がった、わばキャッシュカードの様な物を持つ人が1定数居る。私も其の1人だ。此の場合は口座にお金を入金してもらうだけだからとても楽だ。

 ゴールド,ラチナカードは、口座からカードに引き落とし、お金を溜めて(チャージして)おくものだ。其々(それぞれ)上限額があり、ゴールドは5ゴールド。プラチナは1ゴールドだ。(※1ゴールド=1000シルバー/10シルバー=日本円約1000円)

 其の他にも学園内、寮内での規則を伝えられ、3限目からは、通常通りの授業が行われた。1授業50分間で、1~4限が午前。1時~2時迄昼休憩があり、2時10分から5限目が始まる。1日の最大授業数は7限で、16時迄ある。それ以降はクラブ活動や茶会等好きなように過ごせる。寮の夕食が18時30分から、20時迄の1刻と4半刻の間で食べなければいけない。其れ迄は基本自由だ。

 今日は1週間の初日だから、6限で授業が終わった。帰りのHRホームルームで、先生に私含め3人が呼ばれた。どうやら、入試試験の結果上位3名が生徒会の執行部に所属する決まりらしい。

 曰く、生徒会長直々に迎えに来るとの事だが、少し嫌な予感がする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ