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第4話 ウォーウルフを仕留める

俺は物陰に身を潜めていた。『ブロンズダガー』を作り出した事により、確かに何もない状況よりはマシな状況にはなった。だがそれでも決して予断ならないような状況は続いている。


――その時の事であった。


群れから逸れた一匹のウォーウルフが俺の近くにやってきた。


どうする? 考えるまでもなかった。結局のところ、生き残るためにはやるしかない。


殺すか、殺されるか。二つに一つしかないのである。


来る。俺の心音が上がってきた。作ったばかりの『ブロンズダガー』の出番が早速やってきた、というわけである。


 ウォーウルフは強い。少なくとも鍛冶師として、戦闘に参加していなかった俺では相手にならないかもしれない。

 

 だが、それでも不意を打てれば別だ。俺はそのタイミングを見計らう。


 今だ。


「はああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 俺はウォーウルフに襲い掛かる。ウォーウルフは俺の存在に気づいた。だが、もう遅い。


 グサッ!


『ブロンズダガー』がウォーウルフの喉元に突き刺さる。


 キャウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!


 ウォーウルフは犬のような悲鳴を上げた。しばらく痙攣した後に息絶えた。


「はぁ……はぁ……はぁ。やったか」


 俺はほっと胸を撫でおろす。真正面から闘ったとしたら果たして倒せていたかわからなかった。


 グウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!


 その時の事であった。俺の腹が音を立てたのだ。


 思えばこの地下迷宮(ダンジョン)に捨てられてから丸一日は経過した事だろう。多分……恐らく。眠り(スリープ)の魔法で眠らされていた為、正確な時間はわからなかったが。


 ともかく、腹が減った。当然のように食糧の持ち合わせなどない。


 だが、目の前に食糧になりそうなものはあった。当然のようにウォーウルフの死体である。


 加熱処理もしなくて大丈夫か? 当然のようにまともな調理器具など今のこの状況ではなかったのだ。


 もしかしたら腹が下るかもしれないが、空腹には耐え切れず、俺はウォーウルフの生肉を食らう事にしたのだ。


 ◇


 ウォーウルフの生肉、当然のように塩も何もないのだからは味気ないものであった。その上に筋肉質な肉で、あまり脂肪分もなかったのだ。だが、それでも肉は肉であるし、多少なり腹にいれれば空腹感が満ちた。


「……よし」


 腹ごしらえを終えた俺は立ち上がる。絶望していても仕方がなかった。何とかこの地下迷宮(ダンジョン)から脱出しなければならない。絶望的な状況下には変わりがないが、それでも僅かばかりの希望の光が差し込んできたのも事実だった。


 それは俺がこれまで鍛冶師として培ってきた技術(スキル)だった。


 この技術(スキル)を活かせばこの地下迷宮(ダンジョン)から脱出できる……はずだ。多分……恐らく。そうだと良いと信じたい。


 ともかく、いつまでもここにいても仕方がない。俺は場所を移動する事を決めた。幸い、今のところ腹は下していないようだった。特に問題はなかった。


「「「グウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!

!」」」


 俺の腹の音ではなかった。仲間の血の匂いを嗅ぎ分けてきたのか、またもや、無数のウォーウルフが駆けつけてきたのだ。


「やばい……」


 一難去ってまた一難とはこの事だった。これだけの大勢のウォーウルフ、とても今の俺では相手にできそうにもない。


 俺は逃げるしかなかった。


 ウォーウルフの群れから逃げ出していくのであった。


 一方その頃、俺を地下迷宮(ダンジョン)に捨てた勇者ロベルトにはまた別の動きがあったようだ。


 そう、勇者パーティーに新しい仲間が加入してきたようだ。






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