バレンタインデーには“N°5 ロー”は居ない ①
今日がバレンタインデー当日ですので、とにかく書き上げた順にUPいたします。
間に合うかどうか…<m(__)m>
今日はバレンタインデー
今年だけは“新人つまみ食い子ちゃん”(つまみ食われ子ちゃんという話もあるが…)に心からエールを送りたい。
「今日はバレンタイン!! チョコの弾込め、山口くんを打ち落とせ!! ホレッ!! 頑張れ頑張れ打ち落とせ!!」
こう念じている私の頭の中はきっと何だか分からない涙で加水分解している。
おかしな笑いがケタケタと起こって、こんなエールを“つまみ食い子ちゃん”に送っているのだ。
そう、くそ狭いロッカールームで背中合わせのカノジョに向かって、
ロートル女子らしく握りこぶしなど握って「ガンバ!!」って
食い子ちゃんはドン引きの苦笑いだったけど…
頼む!!
どうかセイコーしてくれ!!
私の前からカレを遠ざけてくれ!!
私、ロッカールームをさっさと飛び出して
そのまま街に出た。
そんなにいるはずはないのに
やたらカップルが目に付く。
あぁ!!!
苦い記憶がまたリフレイン!
あのホテルの夜
私は目の前で泥酔しているカレをおかずに独りでシたのだ。
正直、自分がここまでポンコツだとは!!
さすがに思っていなかった。!!!
でも
カレを触る手も
自分を触る手も
止められなかった。
しかも翌朝
本当に本当に
思いもよらない言葉を
カレから言われて
私はますますカレの顔がまともに見れなくなり
ホテル代も請求できず
今に至る
心配してくれたミスディオさんには悪いけど
言えない
こんな事…
行くあてのない私は結局
いつものバーの扉に手を掛けていた。
中を覗くと
「よかった!! 華ちゃん来た~!!」と
キラキラした笑顔の!!
今日は安全だと思ったのに!!
居るよ!! ミスディオさん!!
逃げようと言う素振りを悟られたのか、カノジョにコートの裾をしっかりと握られていた。
「さ、さ、脱いで~♪」
私がカノジョの“お客”だったら
これでもう常連になっちゃうわ
そのくらい可愛く迫られた。
「き、今日は…“N°5 ロー”じゃないの?」
「私はね、バレンタインデーには“仕事”しないの。それにさ、華ちゃんが最近冷たいから、ずーっとココ通ってたんだよ」
物凄く可愛く見つめられて私はドギマギしてしまう。
こんな喪女の為に可愛さをムダ打ちするんじゃないと思う。
「私があんなこと言ったから、華ちゃんに嫌われたのかと、すっごく悲しかった。でも。やっぱり嫌われても言わなきゃいけないこと、あるでしょ?」
私はバツ悪く頷く。
「バレンタインデーの今日、ここにやって来たという事は… 取りあえず“最悪”にはなっていない?」
「うん、まあ…」何があったか言えない私はゴニョニョと口ごもる。
「そっか、でもね、こうして“愛する華ちゃん”とバレンタインデーを過ごせて良かった」
この人、冗談じゃなくホントにそう言ってるのかしら
何だかいつもとテンション違う気がするし…
「ね、佐藤ちゃん! 頼んでおいたアレ出してよ」
頷いた佐藤ちゃんは私達の前にピカピカに磨いたシャンパングラスを置くと、奥からベージュ色のラベルのドン●リを出して開栓した。
「別にもったいながってる訳じゃないけど少し待ちましょう」
とミスディオさんは言ったが、じきに優雅な香りが周りの人をも引き付けた。
「周りの方には申し訳ないけど、佐藤ちゃんには手間かけたから一緒に飲もっ!」
そうして皆でハッピーバレンタインをした。
このようにミスディオさんは周りに配慮する人だ。
私も前に無粋をしてカノジョに“お仕置き”されたことがある(※1話をご参照下さい)
だけどこの日は
ミスディオさんの様子はやはり少し違っていた。
最近、自分の書いたもの読みかえす度に“すさんでいる”と感じてしまいます。
なのでこのお話も
やっぱり苦いです。




