彼女はその香りを纏って
久しぶりの更新です。
今では、その香りを赤子の様に吸ってしまうのだけど、あの時は違っていた。
私はちょうどジェムソンくんを口に含んでいて、その戻り香を嗜もうとしていたのに、ふいにミスディオールの……花達が降り注ぐような香りに邪魔されて、ほんの少しチリッ!とした。
それに……いつもは判で捺した様な佐藤ちゃんの表情が明らかに変わったから、『ああ、私の天敵の“イイ女”ってヤツが来たんだなあ』と察したのだ。
「空いてる?」
と訊ねられて
「どこでも空いてるよ」
と答えたら
「じゃあ、ここにするわ」と微笑んだ。
妖艶とは少し毛色の違う……少女の香りを残したその笑顔は、本当に“ミスディオール”そのもので、私の胸中でさえ複雑に蠢いた。
そんな自分の心の動きに動揺して私はタバコを取り出し、1本振り出して口に咥えてみたら眩しく光るシルバーのハートが私のタバコに火を点けた。
「早過ぎるよ」って思わず口に出してしまったら……
「ごめんね。こう言うのが生業なの」って……空いてる手の甲にキラキラネイルの指を置かれた。
まだカノジョの名前も仕事も知らない頃の事……
今、寝物語にその時の事を持ち出したら……
「華ちゃんに一目惚れして……どうしても堕としたかったの」って言葉とキスを耳に差し込まれて
私はまた……
燃えた。
おしまい
今日は華ちゃんとミスディオさんとの出会いのお話。
この二人も私、好きなのです(#^.^#)
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